◆落下《6月18日更新のお題》
落ちているのだか周りが浮揚しているのだか。
雲の中では何もかもがふわふわと曖昧で素敵。
空が遠ざかって丘の緑が鮮明になってやっと、
ははん、これは私が落ちているのだと分かる。
緑の中に白い羊がぽつぽつ見えてきたころに、
さて、これは夢ではなかろうかと気がついた。
怖くもないロマンティックな速度に身を任せ、
ひゅうひゅう風切る音に全身を包まれたまま
どこまでも落ちていきたいような、さっぱり
目覚めてとっととがっかりしたいような。
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◆相合傘《6月19日更新のお題》
あの人も私も用心深い質だったからね、天気予報で40%以上の数字をみかけたら折り畳み傘を鞄に入れるのが、揃って習慣のようなものでした。
だから、相合傘なんて一度もしませんでしたよ。
揃って真面目で不器用で、傘を忘れたふりなんて、そんなの端から思い付きもしなかったのよ。
娘時分に戻れるなら耳打ちして教えてあげたいわ。
今はね、こうしてお墓に傘を差し掛けてあげたりね。
ちょっとは喜んでくれてたら嬉しいのだけれど。
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落下
相合傘
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所感:
なんとなく、ふわふわした話ぶりの方々。
アキレスに追われる亀のように、
明け方に白くかすむ月のように、
ずっと懸命に走り続けてみても、
僕の未来はいつも遥か先にある。
辿り着く日が来るかも判らない。
千年前のご先祖様が夢見た世界、
そのどれか一つが今だとしたら、
僕の今は誰かの未来といえるの?
もし千年後も世界があったなら、
そのどこか、その未来のどこか、
僕の想う未来を生きているひと、
居てくれたら嬉しいのだけれど。
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未来
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所感:
(6月17日のお題、書きかけでした)
はたして未来は誰かに託せるものでしょうか。
◆好きな本《6月15日更新のお題》
国内作家/現代
「祖母姫、ロンドンへ行く!」椹野道流
「ミラクル」辻仁成
「四千の日と夜」田村隆一
「チョコリエッタ」大島真寿美
「愛をかたるエリニュス」藤本ひとみ
国内作家/近代・古典
「奉教人の死」芥川龍之介
「南総里見八犬伝」曲亭馬琴
「新古今和歌集」
「食道楽」村井弦斎
「後世への最大遺物」内村鑑三
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◆1年前《6月16日更新のお題》
一年前はまだこのアプリを知らなかったですね。
ある日ふとダウンロードしてなんとなく書き始めて、しばらく離れてまた戻ってきた今思うのは「真面目に考えて書いてると一日過ぎるのが早い!」です。
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好きな本
1年前
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所感:
作り話ではなく、思ってる事そのまま書くと早く投稿できることを今日学びました。
空は戦利品である。
陽光の奇襲に惑わされた夜は、泣く泣く月を背負い星々をかき集めて自らの国へ引っ込んだ。
皆いなくなった空を見渡し太陽は満足げに宣告する。
「これより朝の始まりである」
世界の隅々まで輝きを放ち続ける太陽は一日の間に活力を使い切り、みるみる老いていく背中に夕闇がロープを掛けて海の深みへ引きずりこむ。
夜はまたじわりじわりと空へと手を伸ばし、星をばら撒いて自らの領土を主張する。
入れ替わり立ち替わり、誰のものでもない場所へ挑み続けるもの達のおはなし。
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あいまいな空
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所感:
夕焼けも朝焼けも好きですが、嵐の雲が一番好きかもしれません。
泣き笑いの顔で、でもこちらに向いた視線は真剣で。
それでいて優しく声をかけてくるから戸惑った。
何もかもちぐはぐ。だから目が離せなかった。
色変わりする最中のアジサイのように見えたんだと、初対面の印象を伝えられたのは何年も経ってからだった。
何、それは褒めの領域?と君は曖昧に笑った。
褒めようとしたわけじゃなくて、ただ、僕にとって君はずっとあの花のような存在だった。それを伝えておきたかっただけなんだ。
笑う、花のような君に。
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あじさい
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所感:
空色のアジサイが好きです。