誰よりも、ずっと君を見ていた
君は天真爛漫で
男勝りな女性で
弱さなんて微塵も見せないで
頼り甲斐があって
その背中は凛々しく
いつも引っ張ってくれる
周りは君を強くて頼もしい女性だと言うけれど
誰よりも、ずっと近くで君を見ていたから
僕は知っている
君は自分を犠牲にして他人に尽くす優しい人
君は強がって周りに気を遣わせないようにしてる人
君は本当は誰かに支えてもらいたい人
君は弱い自分を隠そうとしてる人
君は陰で泣いている人
本当の自分を他人に見せない
不器用な君を
僕はずっと傍で見てきた
君はきっと気づいてないだろうけど
とっくに僕は気づいていた
そんな君だから
離れた今でも願ってるんだ
誰よりも、ずっと幸せでありますように。
ないものねだりばかり
今持ってるもの
自分ができる事
限られてるから
あるものを蔑ろにしてしまう
目を向ければ沢山のものが
そこらじゅうにあるのに
どうしても隣のものが輝いて見えてくる
手を伸ばして掴もうと藻掻くけど
届かなくて掴めない
まるで雲のように流れゆく
理想と現実の狭間を
ただ埋めたいだけなのに
本当は持ってるものの素晴らしさを知っている
もっと目の前のものを磨けば
自分も輝けるのに
やっぱり隣で光り輝くものを欲してしまう
そして気づく
いつの間にか傍にあったはずのものが
手から零れ落ちて
失ってる事に
そしてまたないものねだる
負の連鎖
バカみたいじゃないか
あんなにも共にやってきたのに
いきなり居なくなるなんて
同じ道を進んできたのに
この先も共に進んでいくものだと思っていた
共に作り上げていき
楽しい時も苦しい時も乗り越えて
ここまで来たのに
いきなり別々の道を歩むなんて
本当は分かっていた
いつか別れが来ることを
君はどんどん進み続ける人だから
先に行ってしまうんだね
でも君は先で待ってるんだろう
だから必ず追いついて
また共に歩んで行こう
待っていろよ友よ
いつかバカみたいって笑い合おう
二人ぼっちの世界の片隅で
君の白い肌が月明かりに照らされる
暗闇の中で照らされる君の顔が
いつも何処か儚げで
黄昏ている君を僕はただ見つめる事しか出来ず
そんな僕に君は優しく手を握り抱き締める
その優しい微笑みはいつも裏が見え隠れする
本当は傷つき悲しく辛い筈なのに
そんな思いを表に出さずに君は寄り添う
本当は分かっている
君の中の大きな穴は僕が埋める事なんて出来なくて
ただ君の奴隷になる事でしか傍に居れなくて
君がいつも黄昏ているその視線の先には
いつも別の誰かが居ることも
それでもこの暗黙の主従関係は切れなくて
ドロドロに依存していく
この暗く狭い月明かりが照らされる部屋で
僕は君に口付けを交わす
見つめ合ってるこの時だけは
世界の片隅で二人ぼっちになっていた
胸が高鳴るんだ
真夏の暑い日射しに照りつけられながら
僕は今此処に立っている
心強い仲間を背にこの時を実感している
意識が朦朧としそうな中で
高揚を感じ
緊張と不安がよぎりながらも
何故かやれそうな自分がいる
暑さで呼吸は乱れ額からは汗が流れる
目の前を向くと
ずっと連れ添った相棒が僕を見つめている
僕を信頼し仲間を信頼し
ただ真っ直ぐに構えて待っている
僕もその真っ直ぐに構えている彼を信じ
大きく深呼吸をして
大きく振りかぶる
投げた白球は大きな音を立てて
彼の構えている場所に収まる
これから僕達の夏が始まる
この球場で胸を高鳴らしながら