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5/21/2024, 8:25:10 AM

「ずっと一緒にいてください!」
 そうと決まったら、たとえばここに現れるユニコーンを捕まえて、その角を売ったお金をふたりの将来のために貯めておこうね!そうでないと今更取り返しのつくものもつかないし、あなたの目が2つも揃ってるからなのか、ずっとずうっと生きてて恥ずかしいよ。
 この道をこのあたりまできたけど、一体踏み外していないのかな?この世界には最後まで食べるものはたくさんあるのかな。飢えてるひとがいるくせに、まだ、きれいな心で生きたい。願いといっしょのベッドで眠ると狭い。
「いいよ。」
……っ、て、決めたのに。言ったのに。たぶんいつかしたらどうせどっかにいくんでしょう。それで、そうじゃないと不幸だっていうんでしょう。ゆめを見ているひとってひどいね。ずっと本気は決めるものだったし、そんなふうに運命なんてあるから簡単にカードは裏返ってしまう。
 理想のあなたへ。みとめることと、ゆるすことは違っているみたいです。若さが過ちをのこすこと、黙っているけど忘れてないようです。このまんま隣にいると、きっといつかはがおー、って…ね、鬼になっちゃうぞ。

5/20/2024, 8:49:37 AM

 はじまってたんだと思うけど気付けないことが星の数より多いからさ、いのちのはじまりから世界のおわりまで誰もちゃんとわからないままだ。静かに消えていく無数の残骸が夜空に瞬いている。今日も星が綺麗だね。
 おわかれは言葉にするより早いけど、ほころびは本当は結構長くあったのかなあ。痛みを分け合って微笑みあう生活は、冗長な尺伸ばしの7話目みたいだ。止まっている針を一分ずつ動かして誤魔化していた。このままどこかにいって、帰ってこないでよね。
 突然だったならそれが一番いいでしょう。さよならの言い方を考えるのは難しいじゃないか。「月が綺麗ですね」…みたいなことで伝わるんだろうか、って決めきれないよ。それは星がまたひとつ落ちる間に。

5/18/2024, 3:21:47 AM

(くらくなったら電気をつけるように。)
 人々からくらやみを奪った怪物の腕の中に抱かれている。優しい化け物の声が聞こえなくなることは死にほど近い生命だ。文明に寄生して永らえている。
(電気を忘れずに消して眠ってくださいね!)
 わたしたちを嫌う本能が呻いた。守られることに怯えながら地平線までなんでも暴いて、都市に怪物を敷き詰めながらまた眠れる夜を祈った。
 真夜中の怪物は、慎重がすぎるほどやさしい手付きで命を覆った…やさしさは有限で、与え続けていられない恐怖があったりして…_、世界が無数の悪意を失うように。

5/15/2024, 12:56:42 PM

 自分のためなんかに争いなんてやれないよ。誰かのためだから永遠に、永遠に、続いていくお話のなんてお優しいこと。あの日といつかの満ち足りていない誰かのために捧げている青春。美談なの?
 世界で一番たたかうのに親しいのは子どもを持った母親だ、って、考えるみたいに。愛おしくおもうことは、たたかいに多分、とても近い。
 あなたのことを大切に思ったから、あなたを傷付ける人に抱いた、気持ちっていう名前の暴力が、とても忌々しく心臓に居座った。

5/14/2024, 2:05:00 PM

 流れていった笹舟みたいでした。その上に乗ってきてしまったようでした。どこまで降りてきたのか、流れの上にはもう戻れないけれど、はじめに行きたかった場所なんてこの世にないし…。
 失くしたものはかえらないようでした。未だあるものもあるんですが、痛みを堪えるのは悲しいし、誰にも泣いてほしくない願いが叶わないから、空に浮かんだ星を眺める時間を失くしました。(最近は。)
 風が吹いていて、通り過ぎて手が届かなくなっていて、どこに行きたいのかわからなくなっている。雲は凪いでいて、その下で人は犇めいていて、犯した間違いの数に押し潰されていました。
 花を踏んだことがたくさんあったんでした。覚えてもいない間にたくさんあったんですよ。知らないで過ごせる罪悪を、知ってしまう善良さが、誰の首も締めないことを祈っていた筈でした。

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