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 はじまってたんだと思うけど気付けないことが星の数より多いからさ、いのちのはじまりから世界のおわりまで誰もちゃんとわからないままだ。静かに消えていく無数の残骸が夜空に瞬いている。今日も星が綺麗だね。
 おわかれは言葉にするより早いけど、ほころびは本当は結構長くあったのかなあ。痛みを分け合って微笑みあう生活は、冗長な尺伸ばしの7話目みたいだ。止まっている針を一分ずつ動かして誤魔化していた。このままどこかにいって、帰ってこないでよね。
 突然だったならそれが一番いいでしょう。さよならの言い方を考えるのは難しいじゃないか。「月が綺麗ですね」…みたいなことで伝わるんだろうか、って決めきれないよ。それは星がまたひとつ落ちる間に。

5/20/2024, 8:49:37 AM