ギラギラと照りつける太陽に焼かれながら、不甲斐ない我が身を呪っていた。
そうかと言って、状況を改善する気も起きず、もうこのままずっと微睡んでいるのもいいような気もしてきていた。
ああ、何もかもが億劫で、このまま終わりを迎えてもいい。
怠惰な考えに身を任せようとした時、一人の人間が我を持ち上げて、小さな透明な箱に閉じ込めた。
もはや脚の一本も動かすことができず、弱った体であったが、小さな透明な箱の中は涼しく、気が付いた時には美味い蜜を無我夢中で食していた。
訳が分からぬままやってきたが、ここはなかなか快適で、あの夏から一年、我は人間共と暮らしている。
さしたる不満はないが、一つ言うならば、我は黒糖味より果物味のあれの方が好みである。
教会の鐘の音が、うるさいくらいに鳴り響く。
私を追い立てるように、街のどこへ逃げても鳴り止まない鐘が恐ろしかった。
罪から逃れるように、走って、走って、走っても、行き着くところは行き止まりで、恐怖で叫びだしそうだった。
けれど、どこか冷静に、いっそ罪を受け入れ罰を受けたら楽になれるのだろうか、とも考えていた。
いつの間にか鐘の音は止み、自分の荒い息遣いだけが聞こえていた。
つまらないことでも、話しをしたり報告しあったりした方がいい。
些細なことでも一緒にやったり、分かち合ったりすると仲良くいられる。
でも、遠慮したり、面倒だったりで、気が付いた時には遠く離れてしまっている事も多い。
ほんの少し意識して暮らしていきたい。
病室の窓からは桜が見えた。
点滴のチューブの独特な匂いがしていた。
腕の内側の柔らかい所は、連日の点滴で赤紫色に変色していたし、看護師さん達は冷たい印象だった。
朝の回診に前触れなくゾロゾロとやって来た研修医達。
驚き固まっていた私は、追い詰められた野生動物のように見えた事だろう。
毎日面会に来てくれた母が、内緒で作ってきてくれたおにぎりが美味しくて、ほっとした事を覚えている。
頭が痛くて、気分も悪くて、何もかもが煩わしく感じる日。
普段なら無意識に我慢出来る事が、いちいち癇に障る。
つい身近な人には、そっけない態度やきつい言い方をしてしまう。
余裕がないのだ。辛いのだ。傷つけたい訳じゃないのだ。
だから、一人でいたい。