あの頃の私へ
あの頃の私へ
未来に淡い希望を抱いていたあの頃の自分
どんな素敵な事が起こるんだろう、とか思ってたよね。
ごめんね。そんな綺麗に生きられなかったよ、私。
あの頃に比べて随分と汚れたし、きっと美しさなんてカケラもなくなった。
次は上手く生きれるよう、綺麗に、理想のまま生きれるよう頑張るから。
ごめんね。許して下さい。
じゃあね
今の私より
逃れられない
「…ねぇ、どうして逃げるの?」
分かりきった事を聞く。怖いから、そうじゃなくとも否定的な意見のようなものがあるから逃げるのだろう。だってほら、怯えてるし。
「…そんなに怖がらなくてもいいじゃない。」
またも分かりきった事を聞く。自分でも分かってる。普通じゃないって、これは異常だ、変だって。
…でも、それでも、ここまで深く愛した人は貴方が初めてだから。こっちだって逃したくないのよ。
(…怖がっちゃってまー…)
そこも可愛いんだけれど。そんな怯えた表情だって、私の欲を扇情する材料にしかならない。
歪んでる?そうかも。というかそうだよ。歪んでるの、私。
「…愛情っていうものを知っちゃったんだもの。貴方から愛される喜び。そんなの知っちゃったんだから、もう私一人で歩いてなんていけないわ。」
愛情を渡すだけ渡して、気が済んだらさよならなの?
そんなの私が許さないわよ。だったら何してでも貴方を手に入れてみせる。
「…あぁ。可哀想。勿論可愛さもあるんだけどね。」
でも、もうこれで。
「私から、逃れられないわね…♡」
また明日
「じゃあねー!!」
「うん!また明日ー!!」
…そう、言ってたじゃん。「また明日」、って。
ねぇ、君が眠ってからもう半年経ったよ。
「…いつになったら、目覚めてくれるの…?」
こんなになるなら、「じゃあね」なんて言わなきゃよかった。
あの時君ともう少し一緒にいれば、こんな事にはならなかったのかな。
無意味な後悔を繰り返しても、君の目が開く事はない。
「…また明日も、来るからね。」
透明
お前が死んでもう5年も経った。
相変わらず、俺の時間はあの日で止まったまま。
なぁ、透明人間でもいい。俺の前に現れてくれないか?
「透明人間になってお前の目の前に出ても、透明なんだから気づける訳ないだろ笑」
そんなお前の声が聞こえた。
…気がした。
理想のあなた
可愛らしい顔立ち、優しく、人から好かれる性格、そんな貴方に似合う可愛らしいワンピースを見繕い、着飾る。
あぁ、アクセサリーも付けなければ。まるで貴方の為にあるような、この桃色の髪飾り。
…うん。想像通り似合ってる。
「…ほんっとうに…可愛いなぁ…」
うっとりしながら貴方を見る。その綺麗な目が開く事はもうないけど。でも。
「…うん。よく出来たよ。理想のあなた。どうかな?」
貴方の耳に届く事はないのだけれど。知ってる。でも言わずにはいられなかったから。
「ふふ…これでずっと、私の理想のあなたと一緒にいれるのね。」
あぁ、なんて最高なんだろう!