逃れられない
「…ねぇ、どうして逃げるの?」
分かりきった事を聞く。怖いから、そうじゃなくとも否定的な意見のようなものがあるから逃げるのだろう。だってほら、怯えてるし。
「…そんなに怖がらなくてもいいじゃない。」
またも分かりきった事を聞く。自分でも分かってる。普通じゃないって、これは異常だ、変だって。
…でも、それでも、ここまで深く愛した人は貴方が初めてだから。こっちだって逃したくないのよ。
(…怖がっちゃってまー…)
そこも可愛いんだけれど。そんな怯えた表情だって、私の欲を扇情する材料にしかならない。
歪んでる?そうかも。というかそうだよ。歪んでるの、私。
「…愛情っていうものを知っちゃったんだもの。貴方から愛される喜び。そんなの知っちゃったんだから、もう私一人で歩いてなんていけないわ。」
愛情を渡すだけ渡して、気が済んだらさよならなの?
そんなの私が許さないわよ。だったら何してでも貴方を手に入れてみせる。
「…あぁ。可哀想。勿論可愛さもあるんだけどね。」
でも、もうこれで。
「私から、逃れられないわね…♡」
5/23/2024, 1:01:33 PM