ナナシナムメイ

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2/8/2025, 2:45:01 PM

〈お題:遠く…〉

近い将来。自分がどうなっているのか分からない。恐怖や不安といった安易な感情で未来から目を逸らすこともできる。遥か遠方でどんな事が繰り広げられているのか、直視せずにいることもできる。先々のことから目を背けている。

なんとも悲しいことだ。
未来への期待を失っている。

疾病利得を望むまでに落ちぶれている。
将来の不安を軽減するためにと2人で話しあって貯金額を決めていた。
知り合いはついに目標に達したが、その日から堕落した。金遣いが荒くなり、楽観を極めた。

遠く…未来の不安を取り除くための貯金が娯楽に、快楽に、悦楽に…過去に消えていく。

「ふはは」と笑う彼が目に映る。
貯蓄した安心を暴食し、不安を避けた。

「あぁああ」と顔が歪むのを見た。
不安を拒食し、積み上げてしまった。目に見える安心は食い散らかし、ついには腐敗した。

食い散らかされて腐敗した安心は彼の気を荒立てる。目を背けても腐敗臭が鼻を刺激する。彼が避けてきた不安が、未来から差す光を遮った。

チリも積もればナントやら。
未来への道が開けていたのに、怠惰の代償か、今が遠い。山積みの不安を避け、今を右往左往することになる。悩み苦しみ、葛藤し、過ちを知って、初めて未来が見えてくる。

そんな人生を楽観的に作り上げてしまう。
自分の歩む道を望まぬ形に整備して、他者の助言を"嫌味"と捉えて騒ぎ立てる。

聞き手ながら相手の視点に立つことをしない人によく多い。聞き手としてまだ未熟。

未熟なうちは毒を含んでいることが多い。
植物にしたって、人にしたって。
未熟が売れない理由は此処にある。
完熟までいかなくとも、アク抜きくらいは必要だろう。

遠い未来、自分の姿を想像できない。
そんな未来が不安で怖いからと安易な感情で目を逸らしてしまわぬように、明日くらいから見つめてみよう。それが難しいなら、今日を。

「後1時間後の自分が何をしているか」予定を立ててみて、1時間後実際の行動との差を実感してみるのがいいかもしれない。

もしかしたら、「つらい、つらい、もうダメだ」と嘆いている割には、堕落した1時間を悠々自適に過ごしていることに気が付けるかもしれない。 

人生は1時間の積み重ねで出来ている。

君の過ごしたその1時間は、紛れもなくアナタの人生である。遠い未来も1時間後の積み重ねの先にある。
それはかつて「変わり映えしないよ…退屈な日常だもん」と薄ら笑いを浮かべていた君の歴史が証明している。途方もない1時間後の積み重ねの結果が、今の君を構成している。

君が過ごした1時間は、過去の自分が常々抱いていた不安の正体なんだ。

恐ろしい未来がどんなものか君は「よくわからない」というけれど、君が遠い…1時間後に抱いている不安が、実は今から過ごす自堕落な1時間の事だとは気が付かない。

だから足元に転がっている過去から送られてきた不安を見て、「今感じている不安が溢れ出た」と勘違いしてしまうんだ。

君はまだ遠い未来の話をするけれど、…話すべきは「後1時間後の自分が何をすべきか」だと、吾輩はそう思う。

2/7/2025, 12:58:37 PM

〈お題:誰も知らない秘密〉

この場を借りて、暴露してしまおう。

「僕は本を買って読むけれど、本棚はとても乱雑で時間が蓄積しているのが一目見てわかる」

知人は最初、本棚を見てとても驚く。
「もっと綺麗だと思ってた」…と。

本に敬意がないのか、…言い訳になると思っていたから隠そうと…今夜は隠し事は無しにしよう。そう、本棚は一時期とても綺麗に整頓していたんだ。あいうえお順で、その表がわかるように立て札まで立てて。

そうしているうちに、「本を読む」ことから「本を集める事」に目的が変わってしまった。
だから、あえて本を乱雑に置いてみた。

…すると「本への体裁」が無くなった。
元々古本屋が好きだったことも思い出した。

「誰も知らない秘密…?」
そう君が疑問に思うのも仕方がない。

だから、今から暴露します。
ふ、とした時に誰かに勧めた本を僕は覚えていないことが多いんだ。

一応全部読んではいるんだけれど…流し読みになっていた時期があまりにも長すぎた。

2/5/2025, 1:59:45 PM

〈お題:Heart to Heart〉

気に食わない…そんなお題。
ぬぬ、しかし、お題に私的な文句を言うというのは良くないものか。

日本語の方が何倍も感じいることができただろうに。馴染みもない適正言語を使わないでほしい。しかし、それが安易に特別感を演出できるのかしら。

表現としてはgood。
「表現としても粗悪だな」
「そう思う己の質が低いのだ」

相反する感情。
これがお題を読んで感じた心の有り様である。

2/4/2025, 9:49:53 PM

〈お題:永遠の花束〉


「枯れない花をください」
そんなものはない。そう言う言葉を躊躇う程度にはその客人は怪しげだった。

全身黒ずくめの男。
国民的人気のある服装とは程遠い安物感。

彼はじっと私を見て、しばらくして視線を外した。

「この僕の想いが枯れないそんな花が…」
彼の迷走は果たして永遠たるのか。
そんな疑問に突き動かされた私は…思わず尋ねていた。

「どんな想いなんですか?」
私の質問に彼は、口より先に目が答える。
「そ、それは…」
恋。或いは愛。彼は今、盲目なのだ。

薔薇一本で充分ではないか。なんてことを考えていると、彼の口が回り始めた。

「そう…この感情は偽りです」
はて、そんな風には見えなかったけれど、彼は自身の感情をそう評価しているらしい。

「なぜ…偽り?」
彼の安っぽい怪しさは今や貧乏人のそれにしか見えなくなっていた。

「えぇ…本当は興味も関心も向いていないんです」疑問が疑問を提示する「…?」

「思い返してください。アナタの日々の行動を」…数分前に初めて彼を見たのだ。日々の記憶には、居ない。そんなことを思い返させて何が狙いか。実はずっとそばにいたとか…。沸々と恐怖が胸に湧いてくる。

「君の思惑に従ってあるく道理はない」
すぅーと血の気が引いていく。知らない事で恨まれているのではないか。
「アナタが僕を人として見ていなかった。だからこそ、アナタの記憶にはない」

しかし、そこまで、…最低限、人を人として誰とでも接してきた私が彼を“人として認識できなくなる”まで人間扱いしていなかった…というのは無理のある話だ。

何より…「誰に向けた花ですか?」
こんな不安を感じながら質問していい内容ではないはずなのに、彼の視線の先にある花を見て嫌な事を考える。良い意味でみんなが贈り合う素敵な花なのだ。

「お前だよ」
間髪入れずの返答に、肩唾が喉に引っかかる。
「わ、私ですか!?で、でも、興味も関心もないって…」

こんな人から貰う花など嬉しくはない。
「そう言わずに、受け取ってください」
無造作に彼が手に取った花の束がカウンターに置かれる。彼が手にしたスイレンにギョッとする。
「…私に、ですか?」
会計を終えてその花束を抱えた彼が一本の睡蓮を私に投げ寄越して去っていた。

2/4/2025, 3:42:22 AM

〈お題:やさしくしないで〉

信頼と信用をされると私は内心怖気付く。
身の程知らずな自分がそこにいて、期待に応えられない未来に苦しむ。
そんな確かな可能性に取り憑かれる。

失敗を肯定されると内心軽くなる。
期待されてなかったという思い込みが微かに生まれるからだ。天邪鬼な心に励ましの言葉は重い。

認識の甘さを痛感する。
私の無知が招いた結果である。本を読み漁る。
いわゆる乱読者である私の頭の中には本の内容はほとんど残っていない。言葉の意味を邪推するばかりか、その邪推を正解としてしまう脳内に辟易する。

優しさに甘えてばかりの精神から灰汁が滲み出る。そんな感覚が喉元に込み上げる。嗚咽。
「言葉を覚えた乳児に等しいと、そんな評価を」この腐った発言もまた灰汁の一つ。

なんたる不遇。その不遇を愚痴れば、多少なりとも同情を得られる。しかし、優しさが不遇を不遇たらしめる。辛い事を肯定される。

「そうだね、辛かったね」
「頑張ってきたんだね」

優しさが肯定である限り、私は癒えない。
なんと悲しき性だろう。

「えぇ、辛かったんです」
「とても頑張ってきました。もう限界です」

理性が必死に辛いと感情に訴えている。心は対して辛くはないのに。

さして何が辛いのか。
どんな事をどれ程の期間、何処まで頑張ったのか。具体的な言葉を用いず感情を肯定される。

それが心地よいのだから困ったものだ。
頑張ったフリをしても、辛いフリをしてみれば
こうして、信用と信頼を嘘で塗り固めることができるんだ。

メッキは光に当てられると剥がれる。
辛い事を面に引きずりだされるのを恐れるのは、抱えた苦痛が「程度の低いさして問題にならない…その程度のささくれのようなもの」。世間はささくれで済まないような大怪我で溢れているから、大袈裟に騒ぐ私に愛想を尽かしてしまうのではないか。そんな不安がついには大きな問題として心にズッシリとのしかかる。

僅かに求めた確かな「心の問題」に今度こそ私は全力で縋れる。

今度こそ私は癒えるのだ。
「とても辛いです」

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