ナナシナムメイ

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7/15/2024, 3:23:45 PM

〈お題:終わりにしよう〉ー評価:凡作

環境汚染や環境破壊の根底にあるのは、人類の利便性の追求と快適性の軽視である。
便利なら快適だろうという思い込みはまさに民衆の勘違いである。

便利を享受し続けている消費主義的な思考回路では、生産者の不便を知ることはないだろう。

「食べ物を粗末にするな」「モノは大切に」「もったいない」「残さず食べなさい」「簡単に捨てるな」…etc。
これらは、生産者の提供物に感謝と敬意を示しているからこその考え方である。

「金を払っているから裁量権は自分にある。口出しするな」という考えは、生産者に対する失敬である。
同時に、生産物を消費者として購入したことを忘れ、我が物顔で扱ってしまう独裁欲に塗れた主張である。

大量生産され、大量に購入できるのは、大量に消費する事をよしとした消費者が過半数だからである。


粗暴な扱いはもう、終わりにしよう。

(脱消費者主義より)

7/14/2024, 1:48:01 PM

〈お題:手を取り合って〉ー評価:凡作

「君は何故、動かないのか」

項垂れた男は、その激動の感情に酔いしれるばかりで動こうとしない。

「己の無力を知るのが怖いのかね?期待されていないと云う事実を知ってしまうのが怖いのかね?」
もちろん心の上では、みな彼に期待している。
応援もしている。彼ならやれるだろうと。
失敗しても、初めから出来ないと分かっているから、失望もされない。彼は生きやすい世の中に辟易していた。

「微塵も期待されないのがそんなに辛い?
以前、君は期待されたくないと言っていたではないか。もしかして、上辺だけの期待に応えることも出来ない無能だと気が付いてしまったのかね?」

彼は酷く落ち込んでいる。周りの人達がみな彼に無関心であると悟ってしまったのである。

「君の失敗を本気で叱らないのも、君の事を誰も見ていないからこそだ。知っていたのだね?」

彼は、塞ぎ込んでしまった。
猛暑日だというに、心が冷え込んでしまった。だから少しでも暖まろうと自分を抱き寄せている。

「君の失敗を通して自分の行動を律している大人たちを知ってしまったから、君は無気力になってしまった。」

彼の肉体は暑さで眩暈を起こしていた。
そうすると、より鮮明に声が聞こえてくる。

「人に愚行を晒しても誰も見てくれない。ネットに自身の愚かさを晒しても、行動や行為を責め立てるばかりで君を見てくれる人は無い」

悪行には、批判が集まる。
しかし、彼を批判する言葉は少ない。
悪行は勿論、行儀や容姿や貧富を叩かれるばかりである。彼を真剣に叱ってくれる人は無い。

「君は、君の心に触れてくれる人がいない。恋愛で慰め合っても徐々に虚しくなっていく。何故なら、観客を求めて彷徨ってしまうから。二人の世界に、二人の関係性を肯定してくれる第三者を求めてしまうから」

自分の存在価値を示したい。
恋人は彼を薪にしているだけである。
彼は恋人にとって、ただの消耗品であると自覚していた。

「君が今感じているその怒りも、君を見ていない僕からの言葉のせいだ。教えてあげよう。」

少し声が薄れているのに彼は気が付いた。
「君は僕や僕以外に自分を訴え、理解されるのを求めている。その原動力が怒りだ。」

本当に声に対して怒りを向けているのか。
自分の感情が行き先を見失っている。
わなわなと震えているのは、猛暑が原因か、或いは反論すら出来ない自身に対するものか。

『君の近しい人を大切にしなさい。
心通わせることを恐れては、縁は歪んでいきますよ。お互いに助け合って生きなさい。』




7/13/2024, 3:40:28 PM

〈お題:優越感、劣等感〉ー評価:???

難しい…!〈星空〉とか、〈街の明かり〉とか苦手なお題だったと思っていたけれど、感情がお題の方が苦手かもしれない。

閑話休題。

「俺には分からないよ」
出されたお題に応える事が出来ない。

思い出してみれば、〈星空〉の蛇足感溢れる文章は中々酷いものだった。
思い返してみれば、立派な恋愛劇のお題ではあったのだ。天体観測もロマンチックな題材だ。悔やまれる。

みんなの作品を見て盲点だったと“劣等感”に似た感情を覚えた。
〈町の明かり〉方もそうだ。
伝えたい事を伝えられていない。
ミステリー気味にしようと試みて、情報の小出しもセリフの提示もゴミカスだった。
本当に惜しいことをした。
もう少し考えていたら〈友達の思い出〉の様にもっと上手くいったかもしれない。

自分なりに上手くいったと思った時は確かな”優越感”に浸れた。

「今は、なんとか乗り切ったと感じている。」

7/12/2024, 11:12:21 AM

〈お題:これまでずっと〉ー評価:凡作

彼は今日まで、とても真面目だった。
いや、これからもきっと真面目なのだろう。

彼は交通事故に合って記憶を失った。
私との出会いも、そこから築き上げた関係性も彼は一人私を忘れることで、私の伸ばした手は空を切る。

互いに手を伸ばせば相手に触れ合える。
そんな関係性に彼はいた。
だのに彼は一人遠くに行ってしまった。

親の代わりに看病をするという事になって、物理的な距離はむしろ程近くなった。
彼には決して「好き」という気持ちはない。
記憶を失う前ならば彼も私を「好き」とは言わなかっただろう。
これは、男女の友情が成立していた数少ない例であった。

けれど、今の彼は私に「一目惚れです」と告白した。

私には分かる。病的不安から最も親身になっている異性に依存する。引き留める手段としての「好き」であると。
彼の「好き」は記憶を失っても真面目に生き残る手段を模索した結果に思う。

事情を忘れた彼には、親の見舞いがない事が何か重大な事に思えたに違いない。

私は、返答に迷っている。
記憶を失った彼となら、新しい…恋人としての関係性を築く事ができる。
私は、私の意思で選ばなければならない。
彼との新しい関係性を求めるというのは、些か抗い難い魅力を感じる。
今後、病院に訪れる際に、とても便利な文言でもある。

これまでずっと、私は男女の友情に酔いしれていた。これほどに楽しい関係性は見出せないとさえ思っていたのだ。

これからは…どうだろうか。
冗談でも好きと言われた相手と男女の友情があり得るだろうか?
これからは…きっと…「これから…よろしくお願いします」

私は、私が伸ばした手を彼の喉元に突き立てた。

7/12/2024, 12:01:21 AM

〈お題:一件のLINE〉ー評価:無し

何かの間違いで、死別した彼からLINEが来たら今度こそ伝えたい。

彼のSOSに気が付けなかった。
彼の「普通を装った」下手な演技に騙された。
綻びなんて思い出せば出すほど出てくる。

人伝いに聞いた死が、彼を知った最後の一言でもあった。

「おはよう」というたわいもない一件のLINEが最後のチャンスだったのだ。

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