1000年先も
拝啓 この手紙を読んでいるあなたへ
初めまして。私はお喋り好きな人間です。お手紙を書くのはほとんどはじめてなので、なにを書こうか悩んでいます。自分の人生の中で1番楽しかった時間のことを書こうかな。
私がまだ幼かったころ、エルフの方とお会いしました。くるくるの赤い髪を今でも覚えています。あなたは何年生きてるの?と聞いたことがありましたが、覚えてないと言われてしまいました。それだけ長生きしてるのでしょう。
その人の誕生日に、赤い髪に似合う赤色のネックレスをプレゼントしました。プレゼントを貰ったのは初めて、ととても嬉しそうにしていて、こっちまで嬉しくなりました。
エルフは長生きだから、きっとまだ穏やかに日々を送っているでしょう。もしあなたがくるくるの赤い髪に赤いネックレスをしたエルフを見かけたらこの手紙を渡してくれませんか?
何卒よろしくお願いします。
敬具 栗毛の私より
赤毛のあなたへ
先にお空で待ってます。のんびり来てね。できれば1000年くらい先で。1000年経っても忘れないよ。
勿忘草
名前 紺野晴香
誕生日 3月14日
好きな教科 国語と音楽
苦手な教科 理科と社会
特技 クラリネット
好きなこと 花言葉を覚えること
好きなもの 花、クラリネット、ピアノの音
コメント
これから3年間よろしくお願いします!
一番好きな花は勿忘草です
花の色とやっぱり花言葉が好きです
語れる人お待ちしてます!
僕はポケットからスマホを取り出し
検索 勿忘草 花言葉
と入力していた
ブランコ
風を正面に受けながら、自転車のペダルを踏み込む。この道を通るのはあと1回だけだ。私の青春は青かったのだろうか。中学の時より馬鹿をした気がするが、最後の3年間なのだから見逃してほしい。
通学路から少し外れた所に小さめの公園がある。公園といってもブランコと滑り台しかないので、子供たちが遊びにきたりすることもない。存在はなんとなく覚えてはいたが行ったことはない。せっかく思い出したので、自転車からおりて公園に向かって歩き始めた。
やはり老朽化が進んでいるが、まだ乗れないほどではない。ブランコに座りこぎ始める。空が恐ろしいほどに青く、思わず目を逸らしてしまった。
目を逸らした先に、春を知らせるように菜の花が咲いていた。
また、ここに来たいと強く思った。
旅路の果てに
手を伸ばせば届きそうな雲。アスファルトを焦がす太陽。
少しほこりを被った街。錆びたやかん。手付かずのカップラーメン。
静まり返ったここに来たのは1ヶ月前のことだ。大きなリュックに未来と過去を背負って、この街までやってきた。
初めこそ1人であることが怖かったが、今ではそれが心地いい。
久しぶりに友人に連絡を取ろうとハガキを出す。彼女がくれた万年筆で文字を綴る。書き進めるうちにまとわりつく暑さに嫌気がさしたので、窓を思いっきり開ける。
すると普段聞こえないはずの、歌が聞こえた。
それは私を動かすのに十分だった。音を辿るうちに見つけたあなたの姿は、
私に旅をして良かったと思わせる力があった。
あなたに届けたい
引き出しから白紙を出して、プレゼントで貰った万年筆を握る。突然、きっと神様も予想していなかったタイミングで私は手紙を書く。
誰に宛てたものでもない。ましては自分のために書くわけでもない。それでも筆は止まらない。
外は帳が降りていて、星がとても綺麗に輝いていた。
私も今からそこにいけるようにと願った。
プレゼントをくれた優しいあの子が、布団の中で泣かないように。
万年筆をおき、紙飛行機を折って、星に飛ばす。
そして私は