須藤 東

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3/23/2025, 11:26:02 AM

「ローライト」

アサガオは今だ燃えろ
蒲公英は手鞠の綿毛
太陽のひかりは、どうして
私も私以外のものも
まるで嘘を吐いたかように
あんなにもひかり輝かせてしまうのか
すべてはもとの色をとりもどして
水は苔の弾む岩の間をせせらとながれ
堰を越えて海を目指せ
吹く風はいつも人の一生分の1を攫う
袋小路を縫いとどめている
暗闇はどこか安心していて釦を外す
白い洗濯物の裡(うち)より滴る雫
斜めに立て掛けられた赤い傘の沈黙
太陽が翳っている1秒の長い一日
快晴は煌めきすぎていて
嘘で満面の笑みをさせられる
雨では、人はいつしか、黒い傘で
顔も心も隠すようになった
そんな私たちが
元の姿に戻って泣ける日がある
それは1秒の長い一日の
草花も嘘を吐けなくなる
太陽も翳った曇りの日、その日だけだ

3/22/2025, 10:32:50 AM

「雨の窓辺」

私がもっている
純度と香りの
いちばん高い
ばいばい。を
君に使おうと
思ったけれど
雨がずっと
明けないままだから
使わないことにしたよ
勝手でごめんなさい
だけどこれは
雨に濡れてしまったら
綺麗ではなくなるから
たしか君は
もう もっていなかったよね
窓の外はくらげと
黒いくらげ
それとあたたかい雨音

「胸にあるのは読み終わらない本」

人はもらった言葉で本をつくる
人は胸に何冊も本をかかえている
友だちのひとりひとりの言葉が
一冊一冊と違う装丁となっている
父、母の言葉も本になっている
恋人の言葉も、本になっている
悪い者の言葉も、本になっている
さようなら、ばいばい、そして
人はこの言葉で栞をつくっている
最後の言葉で人は栞をつくっている
人はその栞を本に
使いながら読めるようになった時
そこで一冊の本をやっと
読みおわることができるのだ
人はもらった言葉で本をつくる
人は胸に何冊も本をかかえている
生きていくということは
そのかかえている本を
栞を使って読めるように
なっていくということ

3/21/2025, 10:05:12 AM

「君と見た風景は」

君と見た風景は
それは瞬く星の儚さに
悲しくなってしまった
風景だったよ
でもね、強くなったんだよ
君のいない夜だって
泣いてだって
生きているんだから

「いいよ。」

君が見たいと望むなら
この星屑の夜空に
粉雪だって降らせてあげる
神様が
そんなことで
私の心を壊さなきゃ
いけないくらい
だからあなたはさ
アンタレスを
私と思って
目を背けないでいて
できれば
目を背けないでいて 

3/21/2025, 7:45:04 AM

「悲しみの歌」
手をつないであるこうよ
君を置いてはいけない
泣きながらでいいから
涙は拭かないでいいよ
メキシコの青空
忘れられた牡丹
さぁ。

「生命の長さ」

君がおよそ7秒
手を繋いでくれたから
私はそれくらい
元気でいれたんだよ。

「手を繋ぐ」

手を繋ぐって
キスくらい同じ重さだと
私は思うの
だから君が
骨になっても
灰になっても
私は裸で
手で君と手を
繋いであげる
だから私に
太陽の光を
拒否し続ける
百合の花を
私にください

「きみの手」

きみの手が
涙でできてるなんて
手を繋ぐまで
私気づけなくて ごめんね。

「手のぬくもり」

ヒトは高温動物だ。
誰と手を繋いでも、
みんな変わらない。
だけど手を繋いだ人たちの、
ぬくもりを。
ぬくもりを忘れられないのは、
私だけですか。

「花びら」

君と手を繋いだ瞬間。
ぱっと君の手が、
花びらになってしまったから、
私は今でも春が嫌いだよ。

「亡者」

手を繋ぐだって
それで手をつないで
俺は涙も流せぬ
髑髏になったんだ
目があるうちに
焼き付けろ
これが私だ
責任はすべてお前に
とってもらうからな

「君の嘘」

君が一生をかけて
作り出した嘘は
私を一晩
幸せにできる嘘
だったんだね
ありがとう ありがとう
兵士はみんな死んだ
清々しい青空のした
あなたの手だけを
握りしめて
夢から覚めたよ
この世で この世で
私 弾のない棍棒を
握りしめて
生きています
君の手は
私の 頭の上に

「手を繋いでくれたらいい」

手を繋いでくれたらいい
君は世界中で一番
弱いままでいいと思うから
手を繋いでくれたらいい
君は世界中で一番
強くて怖い
孤独に勝てると思う

「髪飾り」

あなたは急に
繋いでいた手を離して
私のあたまに
手を置いて
くれたことを覚えてる?
今でもそれが私の
髪飾りになっているの
廃れた商店街に降る
白い粉雪
私に残った
頼りない
ぬくもり