10/16/2025, 7:50:04 AM
『運河』
君のなみだ
君に言えないすこしだけ
ずるいことをして手に入れた
握りしめた指のあいだから
微かな光こぼれる
君のなみだ
わたしはだんだん君のなみだが
ゆっくりと感染(うつ)ろいそうで
生まれ育ったこの運河に
君のなみだを投げ捨てた
運河は油のように水をはじいて
さらさらと眩しく流れていった
10/10/2025, 11:32:20 AM
『友だちの詩』
手を繋いでいるだけじゃ
たぶんきっと
だめなんだ
ちゃんと自分のことばに
じぶんの声をのせて
じぶんのリズム
じぶんのおもさをのせて
たぶんきっと
一人で剣を握ったら
たぶんきっと二度と離せない
たぶんきっと
剣は一人で持つものじゃない
手を繋いでいるだけじゃ
たぶんきっと
10/10/2025, 7:47:01 AM
『肉食』
今日も殺した殺した
今日もお前と笑えるわ
今日もお前らと話せるわ
今日も何故か花が咲いてるわ
10/8/2025, 7:04:27 AM
サナギ
幾きせつが過ぎ去っても
春の折り鶴
冬の前の川のながれの
銀色のきらめきと
霞んだ赤むらさき
本当は大人にするはずだった
どろどろとした涙を
受け止めるすべも無く
今はこうして流しているんだ
9/30/2025, 3:58:48 AM
『不屈』
幾度も裏切られたけど
この身体が治っていくように
輝きを取り戻していく
言葉がある
たぶん人は
それを持って
産まれてきている
僕のどこかでまた
赤くなった気がしている
きっと大丈夫だ