美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい⋯⋯美しくなきゃ。
周りから後ろ指を、刺されてしまう。
(妄執)
ティーカップに紅茶を注いで、スコーンを並べたら、楽しいティータイムの始まり始まり。
「でもあなた、紅茶飲めないじゃないの」
「⋯⋯午後ティーなら飲めるから」
「ねえ、俺とデートしない?」
「お待たせいたしました、ブレンドコーヒーです。注文は以上でよろしかったでしょうか? それではごゆっくりお過ごしください」
「きみの淹れてくれるコーヒーを、毎日飲みたいな」
「そのコーヒーは、うちのマスターが淹れたものです」
「きみは相変わらず冷めてるね」
「冷めないうちにコーヒーをお飲みください」
「全然会話にならない! 俺の言葉の一部を切り取ってそれっぽく返答してくる⋯⋯」
「なんだ、またやってんの?」
「あ、マスター。娘さんを、俺にくださいな!」
「別にいいよ。古くなったから、買い替えようと思ってたし」
「えマジで!? いよっし!」
「店内で大きな声を出すことはお控えください」
「ガールちゃん⋯⋯俺と、結婚してください!」
「なにを仰っているのかわかりません。俺と血痕にしてくなさいで検索しますか?」
「しないし言ってないよ、そんなこと!!」
「配膳用ロボットにプロポーズって⋯⋯なんで唯一の常連客があんなんになっちゃったのかねぇ⋯⋯」
―――パラレルワールド売り〼
そこは現実か幻か。
どこまでも続く白い部屋の中央には、重厚なテーブルと荘厳なチェアが置かれており、そこに一人、仮面を被った素性のわからぬ男が座っていた。
男はただ一言。
「パラレルワールド売ります」
パラレルワールド。
こことは少しだけちがう、もしもの世界。
あのとき、ああなっていれば。
と、そんな願いが叶ったかもしれない世界。
そんな世界なら、もしかすると。
生まれるのが、一日だけ早いかもしれないし
プリンを買ってきて、だなんて駄々を捏ねないかもしれないし
もう少し早く、気になるあの子に告白できていたかもしれないし
電車が遅れなかったかもしれないし
上司に反抗できていたかもしれない。
ああ、その世界はなんて、幸福に満ちていることでしょう。
「―――買います」
と、気づけば口が動いていた。
「毎度ありがとうございます。それでは―――貴方の世界との引き換えとさせていただきます」
ぐにゃりと視界が歪んだ。
そこは現実か幻か。
どこまでも続く白い部屋の中央には、重厚なテーブルと荘厳なチェアが置かれており、そこに一人、仮面を被った素性のわからぬ男が座っていた。
男はただ一言。
「パラレルワールド売ります」
パラレルワールド。
こことは少しだけちがう、もしもの世界。
あのとき、ああなっていれば。
と、そんな願いが叶ったかもしれない世界。
そんな世界なら、もしかすると。
生まれるのが、一日だけ早いかもしれないし
プリンを買ってきて、だなんて駄々を捏ねないかもしれないし
もう少し早く、気になるあの子に告白できていたかもしれないし
電車が遅れなかったかもしれないし
上司に反抗できていたかもしれない。
ああ、その世界はなんて、幸福に満ちていることでしょう。
―――けれど。
「私、猫を飼っているの。会社の帰り道に拾ったのだけれど、酷く弱っていたし、おまけに人間嫌いのようで、中々懐いてくれないの。―――けれどね、最近やっと、触らせてくれるようになったのよ。
だから、買わないわ」
「猫は、貴方より早く寿命がきてしまう。そうなれば、貴方はまた、独りになってしまわれます」
「そうね。もしそうなったら⋯⋯それは、またそのときに決めるわ」
「⋯⋯そうですか」
そうして、今夜は店じまいとなった。
そこは夢か幻か。
いつ開かれるかもわからぬ白い部屋。
次に開くのは、いつになるやら。
―――誰のところになるやら。
(パラレルワールドのパラレルワールドのパラレルワールドのパラレルワールドの⋯⋯⋯⋯)
アナログ時計を手に取り、絶望する。
テレビ画面には、アニメのキャラクターたちが和気あいあいと会話を繰り広げている。
そのテンションの差が、なんだかひどくチグハグに思えて、また絶望した。
八月三十一日の午後五時。アナログ時計で見れば、十七時〇〇分。
もう一時間も経てば、国民的アニメが始まって、より一層、明日から学校が始まることを痛感する。
ああ、痛い痛い。心が痛い。メンタルブレイク。
学校に好きな女の子がいればいいのに、あそこは私にとってとても残酷な世界で、魅力的な人なんて一人もいない。
ダイバーシティ。シティはシーではなくエスの方。日本語でいうと、多様性。
が、叫ばれている世の中ではあるが、実現できている人は、そう中々いないような気がする。少なくとも、私の周りにはいない。
男の子が好きになれたらいいのに。
リモコンを手に取り、ポチッと消点。
寝転ぶ。
夏休みがずーっと続けばいいのに。
ああ、でも。
エンドレスエイトは、ちょっと嫌だな。
「あんた、宿題はやったの?」
「⋯⋯⋯⋯」
やっぱり、エンドレスエイト希望で。