Day.27_『消えた星図』
ある日、満点の星空を見て思ったことがある
「人間の『感情』というのは、何種類あるのだろうか」
と、いうこと
無限に広がる夜空には、数多の星がそれぞれの輝きを発して存在している
その星々は、地球から見たら同じような光り方でも、実際は、それぞれで全く違う性質を持っている
もし、星図から星が消えたのなら
それはどんな星が消えたのだろうか
それがもし、人間の『感情』なのだとしたら
どんな『感情』が消えてしまったのだろうか
喜び?怒り?哀愁?楽観?
愛情?嫉妬?恐怖?驚愕?
そして消えた『感情』は『星々』は
また、夜空を照らしてくれるのだろうか
そんなことを考えながら
私は今日、曇天の夜空を眺めている
Day.26_『愛-恋=?』
ふむ、難しい計算だ。
そう呟く私が出す答えは
『無』
と、なるだろう。
これは、『恋-愛』でも同じ答えになると認識している。
『愛』があるから、『恋』ができる。
『恋』することができるから、『愛』がある。
どちらかが欠けては成り立たない。
『愛』が無ければ、『恋』をすることは無い。
『恋』することが無ければ、『愛』も生まれない。
人にとっては、別の回答が生まれることだろう。
寧ろ、私の答えは、なんの捻りもない答え。
凡人が考える、陳腐な答えだ。
だが、そんな「凡人」である私の考えは、答えは。
『愛から恋を引くことはできず、例え引くことができたのなら、残るのは「無」という概念のみ』
それに尽きるだろうな。
ま、偉そうに語る私は、恋をしたことも、愛を感じたことも、何も無いけれどな。
Day.25_『梨』
今年の某コーヒーチェーン店の梨の飲み物
とても美味しかったんですよね♪
甘酸っぱくて、割とさっぱりしていて
さらに、果肉追加したら、梨感が強めになってそれもまた美味でした♪
おかげで、1ヶ月で、体重が目を逸らしたくなるような数値になりました……笑
Day.24_『LaLaLa Goodbye』
「別れよう」
そう先に言ったのは、彼だった。
最近、お互い疎遠気味だったし、無関心だった。
だから、そう言われても驚かなかったし、納得した。
「そっか。……ごめんね、こんな私だったからだね」
「いや……俺の方こそ、ごめん」
二人で謝り合う。
何について謝っているのかは、曖昧だった。
「それじゃ……お別れだね」
「あぁ……また、な」
「うん、また明日」
私はなるべく、いつもの雰囲気で手を振った。
しかし彼は、彼の大きな後ろ姿は、とても小さく見えた。
「……さて、私も帰ろ」
いつもの帰り道。
私は、歌を口ずさんでいた。
曲名は、無い。
私が勝手に作って歌っている、適当な歌だ。
彼と出かけた時、いつも歌っていた歌。
ふと、振り返り、小さくなった彼の背中を見つめる。
「……さようなら。私の、最愛だった人」
私はそう呟き、再び歌を口ずさみながら帰るのだった。
そんな私の目から、涙がこぼれていることも知らずに。
Day.23_『どこまでも』(少し長め。とある都市伝説をモチーフにしました)
『次は〜遠台(とおだい)〜遠台〜。お出口は〜右側で〜ございます』
駅員の気怠げな声で目が覚める。どうやら、次の駅に着くらしい。しかし……
『遠台〜遠台〜。お忘れ物のないよう、ご注意くださ〜い』
ここは、私の降りる駅ではない。周りを見てみると、何人かの乗客が大きな荷物を抱えて降りていく。
──プルルルルル
『間もなく〜発車いたします。ドアが閉まりますので〜、ご注意ください。駆け込み乗車は〜ご遠慮くださ〜い』
駅員のアナウンスが流れ、電車のドアが閉まる。まだ、何人もの人が電車に乗っていた。
『ご乗車〜ありがとうございます。この電車は〜……』
そんなアナウスが流れ、私はふっと寝てしまった。
そして、10分ほど経った頃……
『次は〜双城(ふたしろ)〜双城〜。お出口は〜左側で〜ございます』
また、あの気怠げなアナウンスで目が覚めた。どうやら、次の駅に着くらしい。
そして、電車は停車する。
『双城〜双城〜。お忘れ物のないよう、ご注意くださ〜い』
そのアナウンスと共に左側のドアが開く。そして、先程より少し多い気がする人数の人が降りていく。
そして、電車は先程と同じように発車した。
その後も「魚羊(うおつじ)」「紫秋(ししゅう)」「桜の川(さくらのかわ)」といった駅に停車していった。しかし、私はどの駅にも降りることはしなかった。
しかも不思議なことに、それぞれの駅で「おりる人」はいても、「乗車する人」は一人としていなかった。私は頭のどこかで、不思議だなと疑問符を浮かべていた。
そして、10個目の駅……「桃源(とうげん)」に着く前には、ほとんどの人は乗っていなかった。その「桃源」に着いた時、最後の一人も降りていった。私は、その人物も見送る。ドアが閉まる。
『次は〜久遠(くおん)〜久遠〜。終点でございます』
電車には私しか乗っていなかった。
電車に揺られながら、外を眺める。外には、柔らかな淡い光が蛍のように漂っていた。どうやら、線路のすぐ側は川らしい。
『ご乗車〜ありがとうございます。間もなく〜終点、久遠でございます。本日も〜当電車をご利用頂き〜、誠にありがとうございます。お忘れ物のないよう、ご注意ください』
アナウンスが流れる。私は、降りる準備を始める。
『なお〜、こちらの電車は「片道走行」となっております』
「……え?」
電車が止まる寸前、駅員がアナウンスでそう言ったのが聞こえた。私はよく耳を傾ける。
『「新生台(しんせいだい)」への電車は、運行しておりませんので、ご注意くださ〜い』
「えっ……嘘……」
帰りの電車が……無い?仕事で乗ってきたいつもの電車はずなのに?
私がそう思っている中、電車は止まる。そして……
『久遠〜久遠〜、終点でございます』
「…っ!」
目の前のドアが……開いた。その先にはホームなど、どこにもなく、真っ暗な闇が広がっていた。何も見えず、音も聞こえない。
「え、駅員さんに言わなきゃ……」
私は、慌てて振り返る。そこには……
「おや、お客様」
「っ!?」
駅員の男性がいつの間にか立っていた。声的に、先程までアナウンスをかけていた人だ。
「どうなさいましたか?終点ですよ?」
「え、駅員さん!」
私は慌てて言う。
「あ、あの……私、乗り過ごしちゃったみたいで……」
「おや、どちらの駅で降りるご予定だったのですか?」
「えっと……」
私は慌ててバッグの中を探る。そして、財布を取り出して、切符を見せた。それを見た駅員は、キョトンとした表情を浮かべながら、こう言った。
「乗り過ごしておりませんよ?」
「えっ……」
「こちらの切符、間違いなく『久遠(こちらの駅)』までのモノになります」
そう言いながら、駅員に返された切符。そこには、たしかに『久遠行き』と書かれていた。私の頭の中は真っ白だった。
「ご確認いただけましたら、ご降車いただけますでしょうか?こちら、回送列車となりますので……」
「っ……」
駅員にそう言われ、私は恐る恐る、ドアの外に振り返る。そこには相変わらず、闇が広がっている。
「……い、や」
「はい?」
「こんな暗い場所に降りるなんて嫌!お願い!私を元の駅に返して!」
必死に懇願するしかなかった。こんな真っ暗闇に取り残されるなんて……そんなの、絶対に嫌だ!
しかし、駅員は「はぁ」とため息をついた。かと思ったら……
──ドンッ!
「……えっ?」
駅員は私のことを突き飛ばし、電車の外へ出したのだ。
「失礼。こちら、『回送列車』となりますので。ご利用、ありがとうございました」
「いやーーーーー!」
私は、そのまま、真っ逆さまに落ちていった。どこまでも、どこまでも続く真っ暗闇へ。電車が見えなくなる寸前、遠くになった電車の中から、駅員が顔を出している。
その顔は……不気味に笑っているように見えたのだった。