気まぐれなシャチ

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Day.24_『LaLaLa Goodbye』

「別れよう」

そう先に言ったのは、彼だった。
最近、お互い疎遠気味だったし、無関心だった。
だから、そう言われても驚かなかったし、納得した。

「そっか。……ごめんね、こんな私だったからだね」
「いや……俺の方こそ、ごめん」

二人で謝り合う。
何について謝っているのかは、曖昧だった。

「それじゃ……お別れだね」
「あぁ……また、な」
「うん、また明日」

私はなるべく、いつもの雰囲気で手を振った。
しかし彼は、彼の大きな後ろ姿は、とても小さく見えた。

「……さて、私も帰ろ」

いつもの帰り道。
私は、歌を口ずさんでいた。
曲名は、無い。
私が勝手に作って歌っている、適当な歌だ。
彼と出かけた時、いつも歌っていた歌。

ふと、振り返り、小さくなった彼の背中を見つめる。

「……さようなら。私の、最愛だった人」

私はそう呟き、再び歌を口ずさみながら帰るのだった。

そんな私の目から、涙がこぼれていることも知らずに。

10/13/2025, 2:11:54 PM