3/10/2025, 10:27:53 AM
『願いが1つ叶うならば』📌
3/5/2025, 9:50:03 AM
『約束』📌
1/31/2025, 12:44:05 PM
『旅の途中』(📌)
1/21/2025, 12:27:33 PM
慌ただしい足音と話し声に目を覚ます。
軽く髪を梳かし外へ出る。心地の良い潮風と登ったばかりの朝日を遮るものはなにもない。
甲板へ出れば俺に気付いた者たちがでかい声で挨拶してくる。朝っぱらから元気な奴らだ。
適当に返事をしながら船首でぼぅっと水平線を眺める。
「いつまでそこでサボってるつもりだ?」
「んぁ? いやいや、ちゃぁんと働いてるって。ほら、こうして進行方向に障害がないか確認中だって〜。」
「なにもないってのに確認もクソもあるか。だいたい昨日お前が言ったんだろ?『次の島に着くまで暫くなにもないから楽でいい』って。」
「何もないが、何も起きないとは限らねぇだろ?」
「縁起でもないこと言うんじゃねぇよ。この前ぶっ壊れたマストがようやく直ったっつーのに。」
冗談を言い合いケラケラと笑う。まぁ、少しはちゃんと働くか。
水面に反射しキラキラと輝く朝日へ一瞬視線を送り、ポケットから羅針盤を取り出す。
目的の島は西南西の方角。羅針盤と一応、太陽の向きも確認して船の向かう方向に誤差がないか確認を。
俺がこの船に乗り始めてからずっと使ってる羅針盤。色々あって傷だらけだが、まだちゃんとその役目を果たしてる。宝のありかを指し示す、なんてどっかの物語に出てくるような機能は一切ないが、おれにとっちゃ大事な相棒だ。
その針が狂うまで、共にこの大海原を進み続けよう。
#21『羅針盤』