狼藉 楓悟

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6/26/2025, 10:04:24 AM

最後の声📌

6/24/2025, 1:54:02 PM

空はこんなにも📌

6/24/2025, 5:55:53 AM

『子供の頃の夢』 📌

4/27/2025, 4:41:18 AM

 夜の9時。彼が仕事が終わり家に帰る時間。
 そして、画面越しに彼に会える時間。
 お互いに仕事が忙しいこと、家が遠いこともありなかなか会えない。いわゆる、遠距離恋愛。
 少しさみしいけれど、毎日こうして顔が見れるから今はこれで十分。浮気とか、ちょっと不安もあるけど、大丈夫。声が聞けて、顔が見れるから。
 今日も、疲れた顔した君が帰ってきた。鞄を定位置に置き、ネクタイを緩めソファに沈み込む。
「おかえりなさい。」
『は〜……疲れた……』
「ふふっ、お疲れ様。今日は夕飯どうするの?」
『飯……冷蔵庫なんかあったっけな。』
「ちゃんと食べなきゃだめだぞ〜。」
 のろのろと立ち上がりキッチンへ向かう。冷凍食品を取り出してレンジへ。一度ソファへ戻ってくるとテレビを付けた。やっていたのは20代の女性がストーカーに殺害されたというニュース。
「怖いなぁ。私も戸締まり気をつけなきゃ。」
『ストーカーか……』
「え、なに? つけられてるとかないよね?! 帰り遅いんだし、気をつけてよ〜?」
 ソファから立ち上がった彼が、こちらに真っすぐ歩いてくる。画面が揺れ、彼の顔がアップで映る。
『……俺、こんな小物買ったっけ。』
「……ふふっ、あーあ。見つかっちゃった。」
 彼は、ミニチュアを集めて棚に飾っている。色々な種類があって、数も多いから1つぐらい増えても平気だと思ったけれど、想定より早く見つかっちゃった。
 お部屋に遊びに行って、バレないように、部屋がよく映るように飾るの結構大変だったのに。
 画面に映る彼の顔を撫でる。仕方ない。また仕掛けに行かなくちゃ。そうだ。今度は仕事の鞄にもつけておこうかな。映像はともかく、ずっと彼の声が聞けるように。
 早く会いたい。でも、まだ直接会うのは恥ずかしいから。好きなことも嫌いなものも、好みのタイプも全部知ってから。
 君に愛してもらえる私になってから、会いに行くね。
 大丈夫。それまでずっと、君のこと見てるから。たとえどこにいたって、ずっと一緒だよ。


#26『どんなに離れていても』

3/10/2025, 10:27:53 AM

 無人島に1つだけ持ち込めるなら何を持っていくか。もしも魔法のランプと巨人がいたなら何を願うか。宝くじが当たったら、大金が手に入ったら何に使うか。世界最後の日に何をするか。最後の晩餐は何が良いか……。
 そんな、よくある”もしも”の話。
 1つだけ願いが叶うなら何を願うか。但し、願いの個数を増やすのは無しでそれ以外なら何でも良い。
 大金が欲しいでも、恋人が欲しいでも。
 何かを腹いっぱい食べたい。何処かに行きたい。容姿を変えたい。地位や名誉が欲しい。あいつを殺してほしい。あの人を生き返らせてほしい。
 どんな願いでも、たった一度だけ確実に叶うとしたら。
 時間を巻き戻しても、きっと僕じゃ過去は大して変えられない。
 君を虐めていたアイツを殺しても、もう今更意味がない。
 君を生き返らせたなら、何故死なせてくれなかったと怒るだろうか。
 何を願おうと、もう僕に君は救えない。
 隣に寄り添うしか出来なかった僕に、最期まで笑いかけてくれた君が。
 死を選び、一人旅立ってしまった君が。
 もし、死してなお苦しい思いをしているのなら。どうか、死後の世界では安らかに。そしていつか、好きだった漫画の主人公のように転生し、遠いところで幸せに。
 嗚呼でも、これじゃあ願いが2つになってしまう。
 ……”もしも”の話が好きだった君よ。どうか今、君が幸福に包まれていますように。

#25『願いが1つ叶うならば』

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