淡時間

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1/21/2025, 3:45:10 PM

『羅針盤』

もしこの波にさらわれてしまえたのなら

私は船に乗ったことを後悔するのだろうか

もしこの風が無くなってしまったのなら

私はこのままここにいてもいいのだろうか


いつまでも尾を引くあの夢も

どうでも良かったあの瞬間も

あなたの目に映った北極星も

私にはほんの少し眩しすぎて

今はただ揺れ続ける船の上で

厚い厚い雲に流され続けている

1/20/2025, 3:20:41 PM

『明日に向かって歩く、でも』

いない

いない

いくら探しても過去は戻らない

いらない

いらない

ならば涙を流す今に価値なぞ無い


これが、私の欲した今日か?

これが、私の選んだ明日か?

ええ、そうですとも。

抱えきれない後悔が私を明日に連れて行く

見るに堪えないこの生傷が私を奮い立たせる


さあ、笑え。

1/20/2025, 5:19:23 AM

『ただひとりの君へ』

ただひとりのあなたへ

私ができなかったことは

幾つも、幾つも、幾つでも

湿気た花火達が教えてくれていて


なにひとつ、たったのひとつも

果たせなかったまま始まる季節は

何度も、何度も、何度でも

寄せては返す波と一緒に去っていった


ひとひとり居なくなった砂浜で

裸足のままかき集めた冷たい砂は

掬って、掬って、掬っても

私の熱を奪いながら零れ落ちている

1/16/2025, 3:41:30 PM

『透明な涙』

綺麗に生きたかった

優しくなりたかった

強くなりたかった

愛してほしかった

ただ、認めて欲しかった


狭苦しい水槽の中は苔と水垢で溢れていて

滑稽な程増え続けている汚らしい泡ぶくに

早く諦めてしまえ、と言われているようで

無責任に更ける夜を抜け出せないままでいる

1/15/2025, 3:27:25 PM

『あなたのもとへ』

走った

苦しいぐらいの高揚感のまま

走った

溢れるぐらいの喪失感のまま

走った

名前で呼ぶあなたのことが好きだった

ただ、走っていた


心臓を潰すほどの私の浅い呼吸

汗が目に入り急激に冷える身体

全部忘れたかった

全部忘れていたかった

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