淡時間

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5/22/2025, 12:20:22 PM

『昨日と違う私』

いつだって私には欲しいものがあって

毎晩ほんの少しだけのお願い事をする

ふ、と目を覚ませば明日になっていて

いつの間にか今日は昨日になっている


明日になれば欲しかったものかどうか忘れられて

明日になれば元より欲しくなかったとすら思える


昨日までの私達は無駄なんかじゃないって思う

昨日までの私達は踏み躙られなかったって思う


いつだって私には欲しいものがなくて

毎朝ほんの少しだけのお願い事をする

拭えば忘れられるぐらいの気持ち達が

窓の外の小雨となって降り続いている

5/21/2025, 3:04:28 PM

『Sunrise』

星屑をなぞるように言葉を吹き込む

ゆっくり、ゆっくりと

あなたの目に映る泡沫が月を追い遣った


もうすぐ雲に抱かれたお天道様がうまれ

惜しむように、悲しむように

産声のような光がわたしを包む

慈しむように、慰めるように

産声のような光があなたを包む


いつか待ち望んだ夜明けがここにはあって

生温い涙を拭い、小さな小さな欠伸をした

4/19/2025, 2:06:13 PM

『影絵』

影で手を繋ぐ私たちは

惚けた蝋燭の夢を見る

蕩けて、蕩けて、蕩けきって

火傷のような恋を知る


あなたによく似た影が残るこの海に

あなたによく似た影が残るこの坂に

あなたによく似た影が残るこの駅に

まだ熱を残したフィルムを重ねている

3/18/2025, 12:41:59 PM

『大好き』

好きが、欲しい

人に向かった好きが

ものに向かう好きが

向けてもらう好きが


愛が、愛のままでいられるように

何かを、憎まなくてもいいように

混ざり合わぬままに手を取り合えるのなら


たった、たった一度だけ愛されたい

たった、たったの一度だけ愛したい

それが私の人生へ捧げる、大好きだ

3/17/2025, 12:53:00 PM

『叶わぬ夢』

あの日吐き出せなかったままの熱を

やけに甘い添加物と一緒に飲み込む

溶けきった涙すら懐かしむように

私という形を思い出させるように


取り返しがつかなくなる直前で

一掬いの夢に中毒を起こす直前で

気持ちがせり上がってしまう直前で

爛れたままの私の喉が漸く音を立てる


今になって何故思い出したのだろう

目の前の景色が滲んでぼやけていく

今になって何故思い出したのだろう

聞こえてくる声で意識は濁っていく

今になって何故思い出したのだろう

今になって何を思い出したのだろう

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