1/20/2025, 5:19:23 AM
『ただひとりの君へ』
ただひとりのあなたへ
私ができなかったことは
幾つも、幾つも、幾つでも
湿気た花火達が教えてくれていて
なにひとつ、たったのひとつも
果たせなかったまま始まる季節は
何度も、何度も、何度でも
寄せては返す波と一緒に去っていった
ひとひとり居なくなった砂浜で
裸足のままかき集めた冷たい砂は
掬って、掬って、掬っても
私の熱を奪いながら零れ落ちている
1/16/2025, 3:41:30 PM
『透明な涙』
綺麗に生きたかった
優しくなりたかった
強くなりたかった
愛してほしかった
ただ、認めて欲しかった
狭苦しい水槽の中は苔と水垢で溢れていて
滑稽な程増え続けている汚らしい泡ぶくに
早く諦めてしまえ、と言われているようで
無責任に更ける夜を抜け出せないままでいる
1/15/2025, 3:27:25 PM
『あなたのもとへ』
走った
苦しいぐらいの高揚感のまま
走った
溢れるぐらいの喪失感のまま
走った
名前で呼ぶあなたのことが好きだった
ただ、走っていた
心臓を潰すほどの私の浅い呼吸
汗が目に入り急激に冷える身体
全部忘れたかった
全部忘れていたかった
1/13/2025, 2:30:19 PM
『まだ見ぬ景色』
ぽつり、と雨の音がする
ブラインド越しに見えた空が
いつだって息苦しくて怖い 怖いのだ
この気持ちはどうしてだろう
触れもしないのにどこにあるのだろう
1/9/2025, 1:55:02 PM
『星のかけら』
点滅する信号機が目にとまり、ふと思い出す
高いビル達もカラオケのマイクも映画のポスターも
きっとあなたの隣だからすべて輝いていたのだろうか
思い出を砕いて空に放り投げる誰かが
揺れ続ける歩道橋の上から涙を流している
強すぎる風に誘い込れるように遠く浮かんでは弾けた
やけに大きい月の隣に置いてかれた星の欠片が
信号機に負けそうなほど弱々しく輝いていた