たった五歳の頃からの理想郷
十七の今も待ち続けてる
でもその音は遠く
何色かもぼやけてわからない
なぜ願ったのだろう
過去の私へと問いかける
わからない と答えたよ
だよね私もわからない
小さな頃は大きいと思ってた
大きくなればとてもちっぽけな私
誰かに尋ねればいいのかな
どうしたらそこへ行けますか
そこがどこなのかもまだわからない
今日も心にある理想郷
十七の今も持ち続けてる
まだその音は聞こえ
色とりどりなことならばわかる
「力を込めて」
必要以上に、力を込めていたかもしれない。
疲れている友人のヤケっぱちな様子に付き合って、こんな時間まで外に出ていた今日。
数時間前の私は、疲れているからって私への当たりが強いのは、いかがなものか、と内心むかむかしていた。
私と彼女お気に入りの店。
ヘンなテンションの彼女は、ちびちびグラスに口をつけながら、喋る喋る。
「そんなやり方してるからできないんだよ。あのやり方を使ったほうが絶対良いって、誰々も言ってたんだから。これだから、要領悪い人ってのは、もう……。」
な、ん、で、あんたにそんなの言われなきゃいけないのよ!こないだ自分も失敗してたけど忘れたの!?
心の中はぐつぐつだ。でも、忘れちゃいけない、私はこの前愚痴を聞いてもらったのだ……。等価交換、つまり貸し借りはプラマイゼロにする。私達の暗黙の了解。
彼女と別れた帰り道、暗闇な空に叫んだ。
「なーんで、迷惑かけてもちっとも気にしてこないのよ、あいつは!
こっちは気を使いまくったんだけど!!
ばーかーやーろー!!」
……えっ?
そもそも、人に迷惑って絶対かけてはいけないこと?
どうせ、気をつけたってかけてるのに?
友達にまで、疲れたときにまで、全て押しのけて優先するくらい、大切だった?
ちょっとくらい、2人きりのとき友人にくらい、かけたって、そんなに悪くは無いんじゃない?
走馬灯ってこんな感じかなってくらいの速さで疑問が頭にぽこぽこ浮かんだ。
「別に、たまにはいっか」
友人にちょっぴり迷惑かけるくらい。
そのくらいご愛嬌ね、と許せる関係が私の望む友人関係だったはずだ。忘れてた。
「私、誰にも迷惑かけちゃだめだって、力を込めすぎてたかもなあ」
まあ、今日さんざん迷惑かけたあいつには、今度たっぷり仕返ししてやろう。なーんて。
「過ぎた日を想う」
久しぶり、たぶん1年ぶりくらいだろうか?
「誕生日おめでとう」
忘れかけていた人からラインが来た。彼は、誕生日に祝いの言葉を言うくらいには、私のことを心に留めておいてくれたのだな。幸福感と罪悪感に同時におそわれた。
なにか、返信しなくては……。
「久しぶり、ありがとう」
一言のメッセージと、申し訳程度の猫のスタンプ。
数年前、人気者だった彼を巡って、まさかの六角関係という昼ドラまがいの人間関係が出来ていたことも、今ではテッパンの笑い話のネタだ。それだけ大人になったのかもしれない。私も、彼もきっと。
踊るように 歌うように
描くように 祈るように
一文字一文字に命が吹き込まれる。そうして文ができ、本が生まれる。根っからの本好きな私にとっては、本とはちいさな魔法だ。様々な事柄に追われる日常を、言葉と物語で支える魔法。
本は私を直接助けてくれるようなヒーローではない。でも、幸せになれる魔法を教えてくれる。本を読んでいないときだって、それはいつも私を元気づけてくれた。
だから私は今日も本を読む。
これは、私から本へのほんのささやかな感謝の手紙だ。
明けない夜はない、とあなたは言った。
でも私、明けて欲しくない夜もあるのに。
例えるならそう、あなたと眠る夜。
アパートの狭いベットで、
微睡みのなかで感じるあなたの体温は、まるで……
「心の灯火」