光合成

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2/17/2025, 10:45:51 AM

『輝き』

付き合って半年の彼女。
人生で初めてできた彼女だからか可愛くて仕方がない。大好きで、大切で愛おしい僕の宝物。
その笑顔も、優しさも、声も、瞳も、肌の感触も、全部全部僕のもの。
好きだよ。大好き。愛してる。
君は僕だけのもの。君の全ては僕のものなんだ。

だから他の男にそんな顔見せないで。
触れないで、優しくしないで。
やめて、僕のことが好きだって言ったじゃないか。
嘘だったの?
僕のことが好きなら僕以外いらないよね?
だって僕は君以外何もいらないのだから。
君もそうでしょ?

だからね、閉じ込めちゃった。
僕の部屋の中。
君と僕だけのお城の中。
どこにも行かないで。
僕だけを見つめて。
君の瞳が好きなんだ。
その硝子玉のような瞳に映るのは僕だけでいい。
あぁ、お願いそんな顔しないで?
ねぇ、幸せでしょう?
僕とずっと一緒にいられるんだよ?
なのにどうして、君の瞳から輝きが消えてしまったの?
あの男が気になるの?
悪い子だね。僕という男がいるのに他の男の心配だなんて。
でも君のそんな優しいところも好きだよ。
大丈夫、僕が全部何とかしてあげるからね。

だって僕は、君の彼氏だから。


2025/02/17
3

2/16/2025, 1:30:30 PM

『時間よ止まれ』

彼女は毎朝、7時15分発の電車の3両目に乗る。
さらさらな黒髪のロングヘアに黒縁メガネ、スカートは長めでいつも本を読んでいる真面目そうな子だった。
電車がホームに入る風で彼女のうさぎのストラップが揺れる。

僕が彼女を知ったのは夏のある日。
彼女が落としたうさぎのストラップを僕が拾ったのがきっかけだった。
男子校で女の子に慣れない僕は、彼女の微笑みに一目惚れをした。

それからの数ヶ月。
夏の暑さが和らぎ、蝉の声が遠くになって、
葉っぱが鮮やかに色付いて青空を彩り、
曇り空からハラハラと雪が舞うようになっても、僕は彼女に声をかけることすらできずにいた。

今日は朝から雪がしんしんと降っていた。
積雪の影響でダイヤは乱れていた。
いつものように彼女は3両目にいて、僕はいつものように彼女の後ろに並ぶ。
しかし、今日は何かがおかしかった。
何かが違った。
いつもと同じバッグ、靴、セーラー服、艶やかな黒髪、黒縁メガネ、
…そうだ、いつものストラップがない。うさぎのストラップが。

電車が来る。
遅延のせいでいつもよりスピードを出してホームに入ってくる。
彼女が一歩前に出た。

待って、だめだ。

彼女がふらっとバランスを崩しスカートが風になびく。
僕は彼女に手を伸ばす。
黒髪が僕の手を虚しくすり抜ける。

お願い、時間よ止まれ。


2025/02/16
2

2/15/2025, 1:07:32 PM

『君の声がする』

私の名を呼ぶ貴女の声が好きでした。
優しく穏やかで、春に咲く花のように可愛らしい声でした。
貴女のはしゃいだ声も、怒って拗ねた声も、しょんぼりと落ち込んだ声も、その全てが好きでした。
何より好きだったのは私の名前を愛おしそうに、満開の桜のようにふんわりと微笑んで呼ぶ声でした。

貴女と別れてずいぶんと長い月日が経ちました。
貴女が別れ際に私の名前を呼んだときの、あの切なげに震える声が今でも耳に残っています。
それが貴女が私の名前を呼んだ最後の日でした。

貴女と別れて10年が経った今日。あの日以降初めて貴女の声がしました。
それは私の名前を呼ぶ声でした。
出会った頃の、幸せだった頃の、永遠を信じていたあの頃と同じ春のような声でした。

待たせてごめんなさい。
私が方向音痴だから、貴女への道を示してくれたんですね。ありがとう。
今、逢いにいきます。


2025/02/15
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