『善悪』
※BL 二次創作
善悪で言うなら、彼は完全に悪だ。
後ろ暗い人間を見つけると、強請って酒を奢らせるし、街中でぶつかって因縁つけてきたチンピラは返り討ちにした上で、お前を殴ったせいで手が痛いから慰謝料出せとカツアゲもする。
善良な市民相手にやってはいないから最低限の倫理観がある、などと思ってはいけない。
善良な市民相手にやったら、自分が通報されかねないからやらないだけだ、と彼自身がそう言っていた。
そんなとんでもない人間なのに、なぜか僕には優しい。
僕の興味をひきそうなものがあると、僕より先にそれを見つけて、さっさとしろよ、とぶっきらぼうに言いながらも、僕が満足するまで黙って待ってくれる。
何気なく言った僕の好物をちゃんと覚えていて、通りすがりに売っているのを見かけると、僕に買ってくれたりもする。
僕が熱を出した時は、つきっきりで手厚い看病もしてくれた。
面倒見がいいわけでもないのに、僕に対してだけは違う。
僕に対してだけ彼は、まるきり善人のようになってしまう。
『流れ星に願いを』
星に願って願いが叶うわけがない。
でも僕は、星が流れるたびにきみの幸せを願う。
どうかきみの未来が幸せでありますように。
優しい世界がきみを包みますように。
『たとえ間違いだったとしても』
※二次創作 BL セリフのみ
「おい、本当にこっちで合ってんだろうな?」
「多分」
「多分てなんだ。記憶があるからルートは全部把握してるって自信満々に言ってただろうが」
「そうだと思ったんだけど、草木が成長してたり、知らない道が開拓されてたりするんだよなぁ」
「おい」
「まあまあ、方角的に街はこっちだから。大丈夫だよきっと」
「ったく、樹海で遭難とかシャレになんねえ」
「水はあるし、木の実や獣もいて飲食には困らないから、道を間違えてたとしても、死ぬことはないよ」
「ざけんな。いい加減まともなベッドで寝てえ」
「それは確かに」
「覚悟はしてたが、ここまで過酷な旅だとはな」
「……今回の旅が終わったら、どこか住むところを探すかい?」
「は?」
「世界を旅する僕の夢に、きみが付き合ってくれるのはすごく嬉しいし楽しいんだ。でも、きみに無理をさせたいわけでもなくて。僕にとって一番大切なことは、きみと一緒にいること。それで、きみが幸せなことなんだ。だから、きみが望むなら」
「お前みたいな好奇心の塊りが、どっかの町に腰落ち着けられるわけねえだろ。我慢できずに出奔するのが目に見える」
「そこは僕だって我慢するよ、さすがに」
「あのな、オレだってお前とおんなじなんだよ。じゃなきゃ、そもそもこんな酔狂な旅にハナから付き合ってねぇっての。分かれよバーカ」
「そっか、ありがとう。大好きだよ」
『雫』
雨上がり、緑の葉に溜まった雨粒が雫となって落ちるように、私はあなたに恋に落ちた。
『何もいらない』
※BL 二次創作
生まれた故郷。僕を大切に育ててくれた家族。優しく成長を見守ってれた村の人たち。美しい初恋の女の子。共に旅した仲間たち。
大切なものはたくさんあった。今だってみんな大切だ。
でも、こんな風にきみと抱き合っていると、きみさえいれば他はもう何もいらない。
そんなことを考えてしまう。
何もかも捨ててきみと二人で生きることができたらいいのに。
そんな身勝手なことを思ってしまうほどきみに溺れている。
初恋のあの子がくれたのは、ただただ柔らかくて優しい綺麗な恋だった。
君に出会って知った恋は、あまりにも醜くて、自分にこんな汚い気持ちがあったのかと驚いてばかりだ。
きみも僕と同じように思っていてくれたらいいのに。僕以外の何もかも捨てても構わないと、そんな恋を僕にしてくれていたらいいのに。