弥梓

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『永遠なんて、ないけれど』
※BL

ずっと君と一緒にいたい

そんなあやふやなあいつの告白で、オレたちの関係は始まった。
ずっとなんてもんはこの世に存在しないのはわかっている。
生きている間だって、別れる可能性は当然あれば、どちかが死ねばそれで永遠にさよならだ。
だから、誰にも執着せずに生きてきたのに、永遠を望む相手と出会ってしまったのだから始末が悪い。
この恋の行く末はいつかは悲恋で終わる。
例え何十年一緒に暮らせたとしたって、いつかはオレかあいつか、どちらかが先に死んで永遠に離れることになってしまう。
あいつに出会うまでは、死も終わりも怖くなどなかった。このつまらない人生が終わるなら、早い方がいいとすら思っていた。
今では、夜が来る度にあと何度こうしてこいつと過ごせるのか、いつかこいつに触れることが叶わぬ日がくることに怯えて、もしオレが先に死ねば残ったあいつを一人にしてしまうことに耐え難い苦痛を覚えてしまった。
あいつと過ごす時間は暖かく優しく甘く幸せであればあるだけ、それを失う未来がゆるやかに、だが確実に刻一刻と近づいてくる恐怖に毎日苛まれる。


永遠などない。
分かっているが、オレは永遠を望むようになってしまった。

9/29/2025, 8:14:14 AM