星屑

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7/4/2024, 5:39:22 AM

夢を見た。暗く冷たい床を裸足で歩く。周りには誰もいなくて、私だけが取り残されてしまったみたい。進んでも出口が見えることがなく、自分が自分でなくなっていく感じがしてとても恐ろしくなった。
どれだけ歩いたのか、段々と足の感覚がなくなってきた。もういっそ諦めてしまおうか、そう思った先に、3つの別れ道が現れた。
先に進むのが怖い、でも早くここから抜け出したい。
チカチカと目の前が光った。続いて彼の声が聞こえる。「おいで」と間違いなく彼の声だった。私は迷わず彼の声の聞こえるトンネルに進んだ。
目を開けると、心配そうな表情をした彼がいた。
「ただいま」と私が言うと。少し戸惑いながら優しく「おかえり」と返してくれた。私が選んだ道が正しいのかは分からない。でも、この道を選んで良かったと心から思った。

6/30/2024, 1:14:49 PM

(本当に大切な人は一目見ただけでわかるものよ)
「ねぇ、起きて!ねえってば!!」
僕は彼女に揺さぶられて目を覚ました。とても懐かしい夢を見ていた気がする。
「もう!こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまうわ」
僕を心配をしてくれる君にありがとうと伝え、重い瞼を擦った。
「ところで、随分と長く何かを探していたようだけど目的のものは見つかった?」
僕がそう聞くと、君は聞い欲しかったと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ、あるものを僕の胸の前へ突き出した。
「、、、何?これ」
君から手渡されたのは10センチ程の赤い紐だった。
「懐かしいでしょ!あなたのお祖母様からいただいたものよ、」
僕が不思議そうな顔をすると。君もあれ、知らない?と不思議そうな表情を見せた。
「昔、あなたのお家へ遊びに行ったじゃない?その時にお祖母様が、お互いの1番心臓に近い指に赤い紐を巻くと相手に幸せが訪れるって」
彼女がそう言うと、途端にさっき見ていた夢を思い出した。
(本当に大切な人はね、貴方が相手のことを大切に思うように。貴方のことをあなた以上に大切に思ってくれるはずよ)そう祖母が言っていた。
「あなた最近元気なかったじゃない?だから少しでも元気になって欲しくて」
彼女はそう言い。僕の薬指に紐を絡ませた。
今は亡き祖母のことを思い出し、涙腺が緩くなる。
でも僕は、決して1人じゃないってことを君に思い出させてもらった。
「ありがとう。」僕がそう言うと。
君は、どういたしまして。そう言い笑った。

6/27/2024, 2:39:02 PM

「ねぇ、ここではないどこかへ行きたいと思う?」

いつものように芝生に寝転がり空を見上げていたら。彼がふと思いついたかのように聞いてくる。
「、、、なんでそんなこと聞くの?」
考えもしなかった質問が飛んできて、私はすぐに答えることが出来なかった。
「本に書いてあったんだ。ここではないどこかへ行きたいって」
「どこかって?」
「んー、そうだな、、、。現在(いま)ではなく過去に行くとか」
そう言って彼は微笑した。なぜ?そう聞こうとして辞めた。彼があまりにも悲しい顔をするものだから。私はどう声をかければいいのか分からなくなってしまった。そんな空気を感じ取ったのか彼は言った。
「ごめん、変なこと聞いちゃったね少し気になっただけなんだ」そう言うとパッと顔を上げていつもの笑顔にもどる。そして何事も無かったように立ち上がり。
私に手を差し出す。私は迷いながら彼の手を取る。そして彼に身を任せ立ち上がって言った。
「私は、貴方といられるのならどこだっていいわ」と。

6/24/2024, 11:30:12 AM

1年後、僕と君はどうなっているのかな。今と同じく仲良くしていられるといいな。実はさ、君にまだ伝えられていないことがあるんだ。僕が本を読むと君は必ずムッとして頬を膨らませていたね。だから僕はわざと本を読むふりをして君から目を離すんだ。そうすると君は地団駄を始めて僕が本に集中出来ないようにしていたね。君は知らないだろう?僕はそんな君が愛おしくて大切なこと。今はまだ恥ずかしくて言えないけれど、いつか君に伝えられるといいな。

6/23/2024, 12:20:03 PM

拝啓幼い私へ、
子供の頃は、我儘ばかり言って大好きな人を困らせてたわね。本ばかり読んでいるからと、本に嫉妬してムッとしかめっ面をしたり、彼の腕を急に引いてみたり。ふふっ、今でもあの頃を思い出してはクスッと笑いたくなってしまうのよ。当時はすごく楽しくて、幸せだったわよね。でもね聞いて、今とても後悔しているの。彼が好きだと言ってくれた笑顔を彼にもっと見せてあげればよかった。当時は気づかなかった彼の気持ちにもっと早く気づいてあげれば良かった。ダメね、この歳になって後悔だらけ。でもね、どうしてもあなたに伝えたかったの。同じ時間はもう二度とやってこないの。後悔しない人生を生きろとは言わないわ。でも、叶うなら彼を大切にして欲しい。だってこの世にたった一人しかいない私の愛した人だもの。
80歳になった私より

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