「ねぇ、ここではないどこかへ行きたいと思う?」
いつものように芝生に寝転がり空を見上げていたら。彼がふと思いついたかのように聞いてくる。
「、、、なんでそんなこと聞くの?」
考えもしなかった質問が飛んできて、私はすぐに答えることが出来なかった。
「本に書いてあったんだ。ここではないどこかへ行きたいって」
「どこかって?」
「んー、そうだな、、、。現在(いま)ではなく過去に行くとか」
そう言って彼は微笑した。なぜ?そう聞こうとして辞めた。彼があまりにも悲しい顔をするものだから。私はどう声をかければいいのか分からなくなってしまった。そんな空気を感じ取ったのか彼は言った。
「ごめん、変なこと聞いちゃったね少し気になっただけなんだ」そう言うとパッと顔を上げていつもの笑顔にもどる。そして何事も無かったように立ち上がり。
私に手を差し出す。私は迷いながら彼の手を取る。そして彼に身を任せ立ち上がって言った。
「私は、貴方といられるのならどこだっていいわ」と。
6/27/2024, 2:39:02 PM