──さん、こんにちは。
君とお友だちになってから、たくさんの月日が流れました。
一緒に遊んできた時間も多いし、もう全部のことまでは分からなくなっちゃったけど、今まで楽しいことがいっぱいあったのはちゃんと覚えています。
だけど、びっくりする時が昨日もありました。
こんな風に知らないことって、まだまだあるんだね。
僕は、それがとってもおどろきました。
なんとかここまで書けましたが、やっぱり僕は、お手紙を書くのが苦手みたいです。
君のクラスでも、この宿題は終わりましたか?
もしも話せたらでいいので、──さんにも苦手なこととかあったりするなら、こっそり教えてくれたらなと少しだけ思っています。
絶対だれにも話さないし、ちょっとだけかもしれないけど、僕でもなにかの力になれそうなら手伝いたいです。
では、お返事がもらえるのを待ってます。
それじゃあ、また明日、学校で!
【もっと知りたい】
何事も積み上げるのには時間が掛かる。
なのに、壊れるのは一瞬。
遠く離れた地を映した箱の中も世界で、手元の板の中に届けられるのも世界。
どれもすべてが他人事ではない光景と知るのは、それに巻き込まれてからだった。
今日も、自分の周りには緩やかな音が流れる。
そんな風に安らげる居間という空間。
丸く低めの机には、香りの良い緑茶を添えた。
和やかな一日も大切だから、この少し固めなおせんべいと共に噛み締めていよう。
【平穏な日常】
どんなに「ご都合主義」と言われようとも、私の最期はハッピーエンドで終わりたいのです。
皆さんと共に、それを迎えたいのです。
いっそ嘘と信じたいほど凄惨な現実も、まるで理想ごと飛び越えるくらい出来すぎた展開も。
どれもが他人事ではなく、等しく時に巡り巡ってくるものだとお聞きしました。
あなたは以前「それは叶わないよ」と、一言だけおっしゃったではないですか。
であればこそ、私は強く思うのです。
夢のような幸せを、あたたかな気持ちを詰め合わせたその時間を。
自由な心が描くまま、抱くまま、願いを歌に込めても良いでしょう?
【愛と平和】
あの光景を今でも鮮明に覚えている。
そう言えば、少々語弊となるのだろうか?
バクバクと速まる鼓動、駆ける呼吸、緊張感。
忘れ去るには強烈すぎた実体験ほど、いつまでも己の思考が「それ」を手離そうとしない。
どれだけ仔細な部分こそあやふやになろうとも、結局のところ深みで存在し続ける。
大きな思い出の一つとして、最期を迎える瞬間まで脳裏に焼き付いているんだろうなと思わせてくるほどに。
けれど「人の記憶」とは、足りない前後が勝手に補完される代物だと聞く。
であれば、時を経て思い出せる“過去”とは、つまり。
……ああまったく、お前さんは随分調子の良い存在である。
【過ぎ去った日々】
注ぎ込んで消せるのが後悔なら、いくらだって買い占めておきたい。
かつて「真に欲しいか否か」と我慢の天秤を揺らした結果、その期間でのみ得られた貴重な品々は、もう手にする機会ごと失われていたからだ。
一度迷った末の“でも”は、人間いつまでだって頭が引き摺り続ける。
そうやって苦い記憶を積み重ねると、いつしか軽くはない値の札ですらも「仕方がないな」と判断できる思考へ変わっていた。
まだ場合によっては正直ややお高め感が残るものの、これが次へと繋がり最終的に己へ還元されるのなら、今では納得のいく決断を下せる。
そう──ゼロの個数をなぞる今のように。
これも一つの勉強料。
であれば是非とも、私はその満足感を支払わせていただこうと思う。
【お金より大事なもの】