かつては、一人遊びの多い子供だった。
それでも彼らと共に遊んでいた時間は少しずつ短くなり、学年が一つ上がるにつれ、自ずと離れていってしまって。
誰か違う子の側でも、大切にして貰えるのなら。
縁を伝い、とある親戚の元へと手放すことになった時は、ただ悲しい気持ちが湧き出すままで。
小さくなる車を見送った後、こっそりと泣いた。
色とりどりの小物が並ぶコーナーを見れば、じんわりと今でもあの日を思い出す。
どんな場所にだって連れていた物言わぬ相棒は、まだあの場所で過ごせて居るのだろうか。
最後に彼らと再会した年月を遡る。
何故だろう、無性に会いたくなったのは。
【君は今】
なにかで蓋をされたように、無理やり持ち上げたやる気が逸れてしまう。
窓際の一席は、そんな溜め息の音ばかり溢れていた。
せっかくの休日も、このままでは勿体ない。
あの重たげな暗い雲が流れたら。
どんよりと滅入っている今の気持ちごと、パッと晴れやかな色に変わってくれるのかな?
【物憂げな空】
涙が、こぼれた。
幼い頃から一緒に遊んだ友人で、共に過ごしてきた家族が、ひとりの親になった瞬間だった。
歯がゆく見守る時間を超えて、やっと取り上げることが出来た“その子”は、まだまだ手のひらに乗ってしまうほどの大きさで。
渡したい喜びが山ほどある。
ひと鳴きした友にも、この子にも、まずは伝えたい。
おめでとう。がんばったね。
元気になったら、今度は三人で遊ぼう。
これからも、よろしくね。
【小さな命】
どこまでも別世界に生きる“あの人”を想うほど、密かな高鳴りの正体を伝えられる度胸がない私は、一人そっと考えてしまう。
あの子たちのように「あなたに近づきたい」と一歩を踏み出せるはずもなく、必死にかき集めた勇気でも「どうか振り向いて」と願うことすら出来ないのかもしれない。
だけど、きっと私はそれでいい。
誰かと穏やかに笑い合う様子を見かけられると、勝手に心は嬉しくなって、ぽかぽかと温かな気持ちも分けて貰えるから。
……でもね、うん。
たったひとつだけ、ちょっぴり欲張ってみたりすると、ね。
いつか、あなたの「好き」も知りたいな。
【Love you】
良くも悪くも、そっくりな姿だった。
穏やかさを通り越すくらいに眩し過ぎて、ときに疲れる日もあるけれど、同時に引き際はきちんと弁えてくれるし。
むしろ、そういう欠点くらい残ってるほうが身近に思えた。
結局それとなく自分が救われている場面も数え切れずあって、なんだかんだの末、その笑顔について行きたくなるのだから。
【太陽のような】