やまめ

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1/13/2024, 12:35:30 PM

「死にたい」というのが許されないのなら、
ずっと眠り込んでいたい。
それさえ許されないのなら、私はずっと微笑み続けて、そんな我慢に気づきもしないあの人たちが一瞬目を離した瞬間、気絶してやる。
ねえ、あなたたちにとって大切で可愛くて仕方ない私が、あなたたちのせいでそんなとこまで追い詰められてるなんて、辛いんじゃないの?
わかってる。バカみたいなこと言ってるって。だから、やっぱり、ずっと眠り込んでしまいたい。もう傷つきたくないから。
大好きな人と暮らしてる。そんな幸せな夢を見て、いつまでも浸っていたい。

12/24/2023, 1:01:32 AM

私にとって、大きな大きな、何より嬉しいクリスマスプレゼントは、
この世界のどこかで、私に触れてくれる誰かがいることです。
人生と人生を交わらせてくれる誰かが、隣で声を聴かせてくれることです。
楽しかったね、幸せだね、じゃあね、また会おうね、そう言って笑って手を振ってくれる誰かに、笑って手を振り返せることです。
そして何より、
私がそれに気づくまで、じっと待っていてくれた誰かの愛が、
何にも勝るプレゼントです。
だから、
Joy to the world!
だなって、そう思います。

10/22/2023, 5:22:56 AM

声が枯れるまで、歌い続けたことがあるんです。夜の学校でした。
窓を開けると、暗闇の中にもぼんやりと何かが見えて、闇の中にも何かはあるんだな、なんてちょっと思っちゃいました。
窓枠に足をかけて、一気に身体を引き上げました。次の瞬間、教室は見えなくなって、私の前には、ただ夜がありました。
息を吸うと、秋風の味がしました。
そして、私は歌いました。遠いどこかにいる、「あなた」へ向けて歌う歌を。実のところ、私にとっての「あなた」は、そこから徒歩10分の一軒家に住んでいました。
でも、きっと聴こえない。あなたに、私は聴こえていない。聴こえたとしても、あなたはそれをただの騒ぎ声だと思うでしょう。名前も知らない誰かの。
それでも、私は歌いました。希望の歌を。愛の歌を。
届かなくたっていい。私が、あなたに向けて声を張り上げた、その事実を、私が忘れなければ。
結局何も変わらない。私の声が枯れて、あなたに「大丈夫?」と半笑いで言われたこと以外は。
また、歌います。きっと。

8/25/2023, 1:54:54 PM

本当は、隣が良かった。目の前に座られたら、視覚と聴覚しか駆使できないじゃないか。
隣なら。隣なら、匂いだって何もなくてもふわりとこちらに流れてくる。声だって、君の立てる物音だって、なんなら息遣いだって、もっと近くで感じられる。普通に話しかけても違和感がないし、もしかしたら、肩だって触れ合うかもしれない。というか、ただでさえ君に纏う空気の傍にいられる。
‥わかっている。気持ち悪いって。僕なんかが君に近づくな、そう思うくらいに、気持ち悪い。
だけど、君にだけは、僕が気持ち悪いだなんて、思われたくないんだ。好きだから。
だからどうか、ばれないで。絶対に、危害は加えないから。お願いだから、僕の気持ちに気づかないで。
そしたら、少しは隣にいてもいいって、許されるかな。
僕がどれだけ君と向かいあっても、君が僕に視線を向ける頻度は、他の人に目を向ける頻度と変わらない。でも、きっと、僕はそれに救われている。
君は知らないでしょう。僕がどれだけ君を盗み見ているか。君のその、伏せた睫毛に、いつも最後に残るお茶碗半分の米をかき込んだそのぱんぱんの頬袋に、「ねえちょっときいてよー」と話す時に見せる、可愛く目立つ2本の前歯に、僕がどれだけ目を奪われているか。
だけど、たまに君が話しながら僕を一瞬だけじっと見つめる時、僕は思わず目を逸らす。一度だけじっと見返してみたけど、その後は顔が熱くなって、どうにも表情がふにゃりと緩んでしまって、恥ずかしくなった。
でも、一瞬だけ真正面から見つめる君の瞳は、びっくりするほど大きくて、みたことないほど黒いんだ。僕はそれを、知ってるんだ。
ねえ。いつか、向かい合って、その目をじっと見つめて、言わせてほしい。
君に会えて、僕は幸せでしたと。

8/24/2023, 12:17:07 PM

「あっ」
声を上げた時には、もう既に唐揚げは床に着地していた。
「あーあ‥」
山田がなぜか僕より残念そうに口を開けた。かと思うと、その中に自分の唐揚げを放り込む。そのまま幸せそうに唐揚げを噛み締めてVサインをした。
「えー‥」
苦笑していると、山田がVサインをサッと下ろした。神妙な面持ちで、僕の袖を引っ張る。
「え、何」
困惑しながら山田の視線を辿って、振り返った。途端に、ふわりとした洗剤の匂いが鼻腔を抜ける。
「タモ、唐揚げ落としたの?」
采架ちゃんが無表情で立っていた。心臓がドクンと痛んで、胃がぷらんと揺れる。頭の方に血液が集中して、顔が熱くなってくるのを感じながら、か細い声で返事をした。
「タモ‥ってさぁ」
采架ちゃんの少年のようなまっすぐな声が僕の耳にまっすぐ入ってくる。まるで直接脳に響いているみたいに。
「なんとも言えないドジ踏むよね」
そして、先程僕が山田に向けていたような苦笑でこちらを一瞥すると、洗剤の微かな匂いを残して踵を返した。
「山田、明日見たい映画決めといてね」という捨て台詞を残して。
があああーん。という音が聞こえた気がした。
「‥タ、タモ‥」
山田の遠慮がちな声で現実に戻る。
「ああ‥えーっ‥とぉ‥うー‥」
なんにも言葉が出てこなくて、仕方なく笑ってしまう。それにつられて、山田も横でへへっ、と小さく笑った。
それを見て、ふいに一言言いたくなった。いや、これくらい言わせてほしい。
「あのさ山田。お前采架ちゃんと」
パン!と山田が手を合わせて頭を下げた。それを見て、一瞬で嫉妬が萎んだ。
「‥いいよ別に」
身体を折り曲げて床に落ちた唐揚げを拾う。
立ち上がってゴミ箱に向かいながら、溜息をついた。
このやるせなさが排出されるように、深く、深く。

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