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5/4/2024, 1:27:46 PM

耳を澄ますと


耳をよく澄ますと、聞こえてくるなき声。

海外の方が虫の声を、ただの雑音としか聞こえない話を思い出した。西洋人は虫の声を音楽脳で処理し、雑音と捉えることで意識しなくなるという。
対して日本人は言語脳で受けとめるため、日本人は虫の音を虫の声として聞いているのだとか。

なき声をただの雑音とするのではなく、ちゃんと声として聞きとることができるのは、とても素晴らしいことではないか。無意識の内に拒絶してしまうことなく、耳をすませばあちらこちらから聞こえてくる。気づくことができる。

しかしたまに思ってしまう。逆に存在を認識していても、無視してしまう人が多いのではないかと。ずっと聞こえていて、ずっと見えているからこそ、何もしない。その素晴らしい感性と、その素晴らしい観察力を無下にしているのではないだろうか。

もったいないなぁ。
だから僕は、なき声の主に話しかけた。

5/3/2024, 2:51:11 PM

二人だけの秘密

私には好きな人がいた。
まだ小さくて、世の中全てが輝いて見えていたあの時。隣の家の君とよく遊んでいた。ずっと一緒にいたから、とても大きな存在に見えていたのだろう。
雨の日の公園で、誰もいない公園の遊具の中、二人きりで話したことを今でも思い出す。君は大きな夢を、私に熱く語ってくれた。
「僕は世界を救いたい!みんなが平和に過ごせるようにする、ヒーローになりたいんだ!」
そう話した君の瞳は、星のようにキラキラ輝いていた。その時の私は、君の言っていることがよく分からなかったけど、その熱意に感化されて大きく頷いた。
「なら私も!世界を平和にしてみせるよ!」
そんな私を見て、君は笑いながら言った。
「じゃあこれは二人だけの秘密だよ。」
「え、なんで?」
私は首を傾げた。
「だって、他の悪い人達が僕らの邪魔をするかもしれないじゃないか。」
「おぉ、なるほど。」
「だから、この想いは僕達だけの秘密。僕らの間には誰も入って来れないんだよ。」
「おぉ〜。」
意味なんて微塵も分からなかったけど、その時感じたキラキラ輝いた思いはずっと心に残っている。小学校の時に私が親の仕事の関係で引っ越してしまったから、それ以来会えていないけど、「世界を平和にする」気持ちだけは忘れなかった。それをモットーとして、今まで生きてきたのだ。

大人になって、やっと君の言った意味がわかったような気がする。だから今日も仕事の為に動き、久しぶりこの地元に足を運んでいるのだ。
ここに来ると沢山の君との出来事を思い出してしまう。ずっと感謝を伝えたかったから。…だからなのだろうか?
今目の前で死んでいる人物が、私が殺した人物が、
世の中を乱す悪人が、君に似ている気がする。
どれだけ好きだったんだよ、私。仕事終わりとかに君の家によってみようかな。少しだけ綺麗になった世の中を見て、君に少しでも喜んで貰えるように。私達の間には、誰も入って来れないから。誰も君の邪魔をする人物はいない。だって、
「これは二人だけの大切な秘密だから。」

5/3/2024, 8:56:46 AM

優しくしないで

目の前の虚像が言い放った言葉
“優しくしないで”
その言葉が身に染みる
それはかつて私が言い放った言葉でもあり
同じように目の前にいた悪魔的な人物に対して
吐き捨てた言葉でもある

違う点といえば、その言葉の意味だろうか
私が吐き捨てた言葉の意味は
相手の優しさが眩しすぎたから
今言い放たれた言葉は
完全なる拒絶
しかしどちらも自分自身の為の言葉だ
それはこの言葉の本質的な部分の共通だろう
自己中心的な言葉

私がその言葉を吐き捨てた時
きっと相手を傷つけただろう

でも私は、今目の前にいる
鏡面に写る人物が言い放った言葉に対して
口角が上がってしまった

「そうだよ。辛いのは私だけでいいから。」

5/2/2024, 8:01:49 AM

カラフル


沢山の道があって、沢山の人がいて、沢山の建物があって、沢山の想いがある。
沢山の店があって、沢山の結果があって、沢山の願いがあって、沢山の運がある。
沢山の命があって、沢山の生物がいて、沢山の知識があって、沢山の繋がりがある。

その全てが間違いなく、美しく鮮やかな色をもつ。
その全てが合わさると、カラフルであり
その全てが混ざりあうと、黒になる。

4/30/2024, 3:51:41 PM

楽園


食べたい時に、食べたいものを沢山食べる!
話したい時に、話したい人と楽しく話せる!
のんびりしたい時に、好きなだけぐ〜たらできる!
見たい時に、見たい作品がみれる!
暖まりたい時に、涼しくなりたい時にちょうどいい温度になる!(?)
寝たい時に、思う存分いっぱい寝れる!

外に出たい時、勉強したい時、遊びたい時、歌いたい時、読みたい時、運動したい時、欲しいものがある時、お金持ちになりたい時、殺したい時、認められたい時、空を飛びたい時、行きたい場所がある時、その他諸々…。

もしも全てが叶えられるのなら、
好きなことができるのなら、
そこは楽園かもしれない。

それさえあれば、何も要らないかもしれない。

もしも全てが叶うなら、私はどうなるのだろうか。

やりたいことがなくなって、
幸せを実感することができなくなるのではないか。

やってみたいと思う願望は、
幸せだと思う気持ちは、
やがて消えてしまうのではないか。


「んー、別にもういいかな。よし、死ぬか!」

私の想像する楽園は、どうしても人が暮らすことのできない場所になってしまう。

楽園は、人が人で無くなる場所だろう。

…いずれにせよ、私は楽園に行けない人間だと思うのです。

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