風に乗って
君のその
苦しみも
悲しみも
後悔も
枯れてしまった
君の思いは
種として
風に乗って飛んでいくから
きっといつか遠い場所で
花開くから
君のその努力は
何も無駄じゃない
「お前さぁ。池に落ちてるモミジの種見て、その恥ずかしいポエムを言えるって、サイコパスか何かなの?」
「違うよ。世の中どんなに頑張ったって、結局は運次第だよなって言いたかっただけ。」
「なるほど。やはりサイコパスか。」
刹那
私は神を信じている。
私は、周りと比べたらそれはもう熱心な〈信者〉だ。毎日〈教会〉に行って、〈教祖様〉の話を聞くことが大好きなのだ。
他の人はなぜ〈教祖様〉を侮辱するのだろうか…?我々はまだ未熟であり、それを正してくれる素敵なお方ではないのか。別に咎めたりなどはしないが。ただ私が、その哀れな人達とあまり関わらなければいいだけである。私は、私の好きな人達といることができればそれでいいと思っていた。
そう、あれはバレンタインの4日前だった。せっかくのバレンタインなのだ。親友に感謝の気持ちをしっかり伝えたい。だからあの日は、あの日だけは親友と〈教会〉に残らずに先に帰宅してしまったのだ。
「話したいことがあります。この後1人で私のところに来てください。」
「…は、はい!」
〈教祖様〉から呼び出された、バレンタイン3日前。こんなことはじめてだった。いそいで〈教会〉の一室に向かう。私なんかの話を聞いてくれる喜びで、私の心は溢れていた。
「失礼します…!」
「えぇ、どうぞ。お入りください。」
「…えっと〈教祖様〉、お話とはなんでしょうか?」
──────────────
結論から言うと、私は冤罪をかけられた。
どうやら〈教祖様〉は、その他の馬鹿な〈信者〉から言われたことを全て信じ込んでしまったらしい。私がそんな生産性のない、馬鹿げたことをするわけないのだが。
「自分の言った言葉に責任を持ちなさい。」
私はそんなこと言ってない
「貴方だから、親友は何も話してくれなかったのですよ。」
親友はそんなふうに思ってないはず
「何人もの〈信者〉が口を揃えて貴方だと言ったのですよ。」
私の言葉は聞いて下さらないのですか
「そろそろ認めてはいかがですか。」
………。
「 ?」
…それだけは、貴方に言われたくなかったなぁ
刹那───私の中で、何かが壊れてしまった。
「はい。大変申し訳ありませんでした。」
〈教祖様〉は全て正しい訳では無かった。それでも正しい人間だった。
それに今まで気づけなかった私が悪かったのだ。人生ではじめて恨んだ人間が、〈教祖様〉だったのは私の一番の失敗である。
私は〈教祖様〉を誰よりも強く信じていた分、馬鹿な〈信者〉どもよりも、〈教祖様〉に対して失望してしまったのだ。
私は神を信じている。
神は私に、失敗を意義あるものにしてくれると信じている。
「〈先生〉。私の将来の夢、決まりました。」
私は〈教祖様〉を否定したい。
〈教祖様〉はもっと完壁で優しくて正しい、愛のある何かであるべきなのだ。
「私は〈先生〉と同じ、教師になります。」
私は誰よりも狂信者なのだと、自分に言い聞かせた。
善悪
貴方がもっとどうしようもないクズで
最低な人間だったのならば、
私はもう少し救われたというのに。
流れ星に願いを
「あ、流れ星」
「うぇっ!?ドコドコドコ!?!」
わー!流星群の日でもないのに流れ星なんて…。都会でも見えるもんなんや!!初めて見るわぁ。願い事どうしよ。…やっぱ先輩があたしのこと好きになってくれますように、やろ。やけどそれが実ったとしても、それはそれであたしの実力不足やったみたいでなんか嫌や…。どうせならあたしの力だけで好きになって欲しい!あー、成績アップ?それも自分次第でどうにかなるんよな。…あ、宝くじ!!宝くじ当たりたいわ。宝くじ当たったら、そのお金の半分くらい募金に使お。あと海外にも行きたいし、ボランティア活動もしたい!世界中の人を笑顔にしたい!!…なら世界平和を願うか?やけどもっと具体的やないと、流れ星が叶えてくれん気ぃせん?もっと具体的でパッと言えるやつがええんやけどなぁ。あー、貧しい人々に日々楽しいことがありますように、とかか。いや別に貧しいからといって毎日楽しくないとは限らんやん。たまに会える人との交流とか、たまに食べる美味しいものとか。誰にだってあるやん、楽しみなこと。それがあるから毎日頑張れるみたいな節あるやん?そう、たまに食べるお菓子とかアイスとか。でもアイスって溶けて落ちたりするから、満足できひん時とかあるよな。ていうか、赤道付近の国ってアイスめっちゃ早く溶けそうやな。これって地球温暖化がいけないんか。それともえらい早く溶けちゃうアイスさんサイドに問題があるんか。まあ、地球温暖化はもうしてしまった過ちだし、太陽さん!もうちょっと火力弱めでお願いしまーす!アイスを、もっと気持ちよく食べたいんや…!
「アイス食べたいなぁ…。」
「あんたの願いしょーもな。今から叶えに行く?」
ルール
ひとつ、健やかに楽しく人生を謳歌すること
ひとつ、世界中の人を愛すること
ひとつ、全てを受け入れること
ひとつ、限界を超え続けること
もしも からだ が壊れてしまったなら───
このサプリメントを飲みましょう。
これを飲めば不安も消えて、幸せになれます
さぁ貴方もこの【
─────────ブチッ
俺はリモコンの電源ボタンを押した。
「…あ〜」
「意味わかんねぇ…」