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7/11/2024, 9:43:18 AM

目が覚めると


目が覚めると、声がした。
遠くからじゃない。とても近く。
俺は驚きのあまり、思わず飛び起きる。

別に普段なら何も思わなかっただろう。俺はまだ学生で、家族と一緒に暮らしているから。
「母さんかなぁ…」とか呑気に思って、せっかくの休日に飛び起きるだなんてそんなこと、するはずがないのだ。

しかし、今日は違う。
…今日は、家に誰もいないはずなのだ。

なのに、
なのに声がする。

その声は確かに俺のすぐ側で発せられたのだ。
声の主はこの部屋にいるに違いない。

寝ぼけていてあまり内容は聞き取れないが、それはあまり聞き慣れない声だった。

「な、誰だよ!!何処だ!!」

叫んでみたが、ビビるあまり声が裏返る。すると、一瞬の静寂が訪れた。

「え…、えぇ?なんで黙る?」

困惑していると、声が聞こえてくる。

「え、お前わざとじゃないの?」

その声は枕の下から聞こえてくる。
しかもその声は…

俺は急いで枕を取った。
そこにあるのはスマートフォン。画面には

「通話中…?」
「なんだよぉ。休日の朝にいきなり電話がくるから、ドッキリかと思うじゃんかよ〜。」

その声の主は、俺の親友だった。バカにしたような声が聞こえてくる。

「その様子だと、寝ぼけて電話かけたんだろ!?お前、夢の中でもまだ俺の事好きなんだなっ。わぁーお、照れるぅ!」

「うるせ、黙れよ…。ていうか、俺にいつもくっついて離れなかった、寂しがり屋高校生は誰だっけ?」

「寂しがり屋っていうか、俺はちゃんとお前のことが好きだから?地獄にだってついて行くし?」

「うわぁ…。」

しかし、本当に電話をかけた記憶が無いのだ。しかも、電話をかけたのに枕の下にスマホがあるだなんて不思議なものだ。

「ていうか、いつから通話中に…」

俺はスマホ画面を見る。そこには

「通話時間、1年…?」




目が覚めると、声がした。

寝ぼけているせいなのか、何を言っているのか分からない。
たくさんの声がする。

でも、その中に親友の声があるのは確かだった。


目の前は一面真っ赤に染まったコンクリート。
少し遠くには赤いペンキ模様のあるトラックが見える。


…なぁ、これ夢だろ?知ってる。だって、


「あ、やっと会えた〜。寂しいから迎えにきちゃった!」


親友は1年前に死んでいるはずだろ?

7/10/2024, 2:46:47 AM

私の当たり前


扉を開ける前に、大きく深呼吸する。
Point!あくまで呼吸を整えることが大切。

頬を引っ張って、口角を上げる練習をする。
point!周りに違和感を持たれないように、自然にすること。人がいない時にすると良い。

扉を勢いよく開けて、
Point!中の様子を伺いながら、目立たない程度に

「おっはよーございまーす!」と、言ってみる。
point!ここで自分を切り替える。じゃないと死ぬ。

後はひたすら周りを見て、
Point!ジロジロ見ない。キョロキョロしない。

私はデコイですと思いながら笑顔で過ごす。
Point!コイツ利用価値ありそう。と、思われるような雰囲気を出す。

できるだけ、
「私という人間に負の感情など存在しない」と
思わせるように尽力する。

これが私の当たり前。

それを友達に言ったら、
「…え、は?きっっっも!?」と、一言。
今のはちょっと、グサッときました…。

7/7/2024, 11:07:11 AM

七夕


年に一度だけ会える織姫様と彦星様。
一年ぶりの再会って、どんなこと話すんだろう。
実はずっとスマホで連絡でも取り合ってたのかな…。

僕はそんなことを考えながら、君に言う。
「7月7日。今日は〈七夕〉ですが、全国乾麺協同組合連合会では〈そうめんの日〉と決まっているらしいですよ。」

それに対して、君は微笑み返す。
「だから流しそうめんをする風潮があるんですね。」

「…久しぶり。」

「一年ぶりだからね。」


一年も会ってないと、初めに何を話していいか分からなくならないですか???

7/5/2024, 3:54:08 AM

神様だけが知っている


神は俺に言った。
『勉強を沢山するべきだ』と。

俺は勉学に励んだ。頭の良い大学に行った。

神は俺に言った。
『人々の意見を世の中に反映させるべきだ』と。

俺は世界中を旅した。総理大臣になった。

神は私に言った。
『世界を平和にするべきだ』と。

私は世界各国の政治を整えた。世界は丸くなった。


「つまり私は、神のお告げを実行したのみであり、
…私という人間は何も無いのです。」


それを聞いた少女はすぐさま叫んだ。
「ねぇ、ママー!!?テレビのこの日本人、
やっぱり人間じゃないって!!」



“その神が一体何者なのか”については、
神様だけが知っている

7/3/2024, 3:18:24 AM

日差し


それは君の残したエゴ
君の物語の「エピローグ」
賛否両論の結末
いいえきっと 、終わりのない 演 劇
暖かいだなんてとんでもない
木々が枯れてなお踊っている
今日も ひ のないところでひっそりと
一人死んで生きていく

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