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二人だけの秘密

私には好きな人がいた。
まだ小さくて、世の中全てが輝いて見えていたあの時。隣の家の君とよく遊んでいた。ずっと一緒にいたから、とても大きな存在に見えていたのだろう。
雨の日の公園で、誰もいない公園の遊具の中、二人きりで話したことを今でも思い出す。君は大きな夢を、私に熱く語ってくれた。
「僕は世界を救いたい!みんなが平和に過ごせるようにする、ヒーローになりたいんだ!」
そう話した君の瞳は、星のようにキラキラ輝いていた。その時の私は、君の言っていることがよく分からなかったけど、その熱意に感化されて大きく頷いた。
「なら私も!世界を平和にしてみせるよ!」
そんな私を見て、君は笑いながら言った。
「じゃあこれは二人だけの秘密だよ。」
「え、なんで?」
私は首を傾げた。
「だって、他の悪い人達が僕らの邪魔をするかもしれないじゃないか。」
「おぉ、なるほど。」
「だから、この想いは僕達だけの秘密。僕らの間には誰も入って来れないんだよ。」
「おぉ〜。」
意味なんて微塵も分からなかったけど、その時感じたキラキラ輝いた思いはずっと心に残っている。小学校の時に私が親の仕事の関係で引っ越してしまったから、それ以来会えていないけど、「世界を平和にする」気持ちだけは忘れなかった。それをモットーとして、今まで生きてきたのだ。

大人になって、やっと君の言った意味がわかったような気がする。だから今日も仕事の為に動き、久しぶりこの地元に足を運んでいるのだ。
ここに来ると沢山の君との出来事を思い出してしまう。ずっと感謝を伝えたかったから。…だからなのだろうか?
今目の前で死んでいる人物が、私が殺した人物が、
世の中を乱す悪人が、君に似ている気がする。
どれだけ好きだったんだよ、私。仕事終わりとかに君の家によってみようかな。少しだけ綺麗になった世の中を見て、君に少しでも喜んで貰えるように。私達の間には、誰も入って来れないから。誰も君の邪魔をする人物はいない。だって、
「これは二人だけの大切な秘密だから。」

5/3/2024, 2:51:11 PM