ゆかぽんたす

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8/5/2023, 7:41:29 AM

いつも美味しいご飯を作ってくれるところ。
自分のことを後回しにしちゃうところ。
雨の日は駅まで迎えに来てくれるところ。
涙もろいところ。
何でも一生懸命に笑うところ。
たまにこだわりが強いところ。
食の好みが合うところ。
ホラー映画を頑張って見ようとするところ。
つまらないことでも全力で笑うところ。

まだまだあるよ。キミの好きなところ。
永久に溢れてくるから数えきれない。
だってキミの全てが愛おしい。

8/3/2023, 12:34:05 PM

シーツ、いい匂いでしょ。柔軟剤を変えてみたよ。キミの好きな鈴蘭の香りがするやつを見つけたから買ってみたんだ。でも今日は、良い天気だから窓を開けるね。
ついでに花瓶の花も変えたよ。今度はカスミソウにしてみたよ。キミは地味とか言うかもしれないけど、たまにはこんなチョイスもいいでしょ?
今日は隣町まで行ってきたんだ。ずっと黙ってたんだけど料理教室に通い出してさ。キミが好きな和食を作れるようになりたくて。もう魚を3枚におろすこともできるんだ。キミがどんなメニューをリクエストしてももう大抵なものを作れるからね。
もう、何でもできるよ。あとはキミが目を覚ますだけ。
キミが目覚めるまでに完璧にしようと思って急いであれこれ覚えたけど、もう一昨年にとっくに覚えきったんだよ。
キミが眠りについてもう5年。もう目を覚ましていいんだよ。キミが目覚めるまで、僕はあとどれくらい待ったらいいの?おはよう、って言ってよ。おやすみ、もほしいよ。早く僕に笑いかけてよ。

8/3/2023, 4:31:32 AM

私の好きな色はバラ色。どんな色かっていうと、赤とか黄色とかピンクとかオレンジとか。バラの花にありそうな色はほとんど好き。
でもこの部屋にはバラ色のものが1つもない。それどころか、白ばっかり。部屋の壁も天井もカーテンも。テーブルもベッドも手すりも、ずっとピッピッと鳴ってる機械も、全部。部屋中の白に埋もれて、私の腕さえも白く見えてくる。せめて髪の毛は黒、と言いたいところだけど、先月で全部なくなってしまった。
「今日はね、あなたにプレゼントがあるの」
いつもの時間にお母さんがやってきて、私にラッピングされた袋を見せた。
「なあに、これ」
「開けてみて」
リボンを解いて中身を取り出す。ニット帽だった。その色は、バラ色。赤も黄色もピンクもオレンジも入ってる。カラフルでとっても可愛い。私が今のように病気になるずっと前に、バラ色が好きって言ったのをお母さんは覚えていてくれた。そわそわしながら頭に被ってみる。鏡に自分を映す。でもなんだか、思ったよりも。
「どうしたの?」
「……ううん」
一瞬、鏡に映った自分が誰なのか分からなかった。髪の毛も眉毛も失くなって。死にかけた瞳の女の子が派手なニット帽を被っている。まるで帽子だけが生きているよう。もう我慢できなくて静かに帽子を脱いだ。私にバラ色は似合わない。赤も黄色も、私が身につけると死んだ色になってしまう。
「気に入らなかった?」
「……気に入りたかったけど、似合わなかった」
「そんなことないわよ」
お母さんがそっと私の手を取る。私なんかよりずっと生き生きした肌色の手をしていた。
「私に可愛い色は似合わない。白しか、似合わない」
「なら、こっち被ってみる?」
そう言ってお母さんが別の紙袋をバッグから取り出した。
「先にこっちを買ったんだけど、これじゃあまりにも地味かと思って買い直したのよ」
中身は真っ白いニット帽。お母さんがそっと私の頭に被せてくれた。恐る恐る鏡をのぞき込む。白い帽子を被った白い顔の私。でもさっきより肌の色に鮮やかさが出たように見える。帽子のほうが真っ白いからそう見えるのかもしれない。おまけにその帽子には、
「……耳がついてる!」
「そう。可愛いでしょ。白猫ちゃんね」
小さな2つの三角が、ぴょこんと私の頭に立っていた。
「ねぇ、似合う?」
「もちろん。とっても可愛い」
その後しばらくずっと、鏡の中の自分を眺めていた。お母さんが帰ってからも、ずっと。
私にバラ色は似合わない。けれど、私に白はとっても似合う。
そう言えば。白色もバラにある。
じゃあ白もバラ色だ。
私にも似合うバラ色、見つけた。

8/1/2023, 10:18:51 AM

「ねぇねぇ、明日もし晴れたらここ行こうよ」
楽しそうに読んでいた雑誌のページを指差してキミは言った。都内のイチオシフォトスポット、って。流石、僕よりひと回り以上若いだけあるね。でも年齢の話をするとキミは決まって不機嫌になるから、心の中で思うだけにする。歳の差を、キミは気にしていることくらい分かってる。
でも本当はね、僕のほうがずっと気にしているかもしれない。永遠に縮まることのない差。仕方ないことだけど、なんとも悩ましい問題だ。けれどこれがもし、キミの生まれた年に僕も生まれたとして、果たして僕らは一緒になれただろうか。そんなふうに自問することがある。そして、その答えはNOだと思う。色々な、偶然や奇跡が重なって80億人の中からキミが僕の前に現れた。そう思ってる。なんだか、考え方は僕のほうが若いのかもしれない。キミは偶然とか奇跡をあまり信じないもんね。
「いいよ、行こうか」
隣に座るキミの手を握った。意味もなくそんなことをする僕をキミはキョトンとした顔で見る。言葉もなく、愛しいと思う時だってあるんだよ。年齢関係なくね。
だから、これからもよろしくね。

7/31/2023, 11:59:41 AM

好きと言わなければ、嫌われることはない。
助けを求めなければ、見返りを求められることもない。
友情という言葉に騙されなければ、裏切られることもない。

だから、私は一人でいたい。

いたいのに。

一人では、できることが少なすぎる。

涙を拭ってくれる人がいたなら。
そっと背中を押してくれる人がいたなら。
本当なら今も、笑っていられたんだろうな。

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