ゆかぽんたす

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「ねぇねぇ、明日もし晴れたらここ行こうよ」
楽しそうに読んでいた雑誌のページを指差してキミは言った。都内のイチオシフォトスポット、って。流石、僕よりひと回り以上若いだけあるね。でも年齢の話をするとキミは決まって不機嫌になるから、心の中で思うだけにする。歳の差を、キミは気にしていることくらい分かってる。
でも本当はね、僕のほうがずっと気にしているかもしれない。永遠に縮まることのない差。仕方ないことだけど、なんとも悩ましい問題だ。けれどこれがもし、キミの生まれた年に僕も生まれたとして、果たして僕らは一緒になれただろうか。そんなふうに自問することがある。そして、その答えはNOだと思う。色々な、偶然や奇跡が重なって80億人の中からキミが僕の前に現れた。そう思ってる。なんだか、考え方は僕のほうが若いのかもしれない。キミは偶然とか奇跡をあまり信じないもんね。
「いいよ、行こうか」
隣に座るキミの手を握った。意味もなくそんなことをする僕をキミはキョトンとした顔で見る。言葉もなく、愛しいと思う時だってあるんだよ。年齢関係なくね。
だから、これからもよろしくね。

8/1/2023, 10:18:51 AM