Noir

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6/26/2024, 8:26:13 AM

繊細な花

6/20/2024, 10:12:38 AM

あなたがいたから

「ねぇー、これ分かんない助けて!」
「えっ、また?」
「うーん、だって分かんないんだもん。」
そう嘆くのは保育園からの幼なじみだ。
保育園~高校までずっと一緒だったため、今では
家族ぐるみで仲良しだ。

スポーツ万能の幼なじみ。そんな彼女の弱点は勉強だ。なぜ私と同じ高校に行けたのか不思議になるぐらいに出来ない。
「ねぇ、ここは?」「ここは、…………………だよ。」
「おぉ!なるほど。」「じゃあ、ここは?」
「ここは、……………………だよ。」「なるほどね!」
この会話がもう2、30分は続いている。

そんな彼女は、保育園の頃から私が困っていたら、1番に助けにきてくれた。だから彼女は私のヒーローだ。
そして、現在高校生になった今も私のヒーローとして、困ったことがあれば助けてくれる。
どんなに勉強が出来なくても、彼女はヒーローで
幼なじみで憧れの存在だ。

いつもと変わらない彼女を家まで送った帰り道。
私の家の庭には、紫色のフリージアが咲いていた。
(誕生日にプレゼントしよう。)
中学1年生のときから続く誕生日プレゼントの1つ
紫のフリージア。





紫のフリージアの花言葉「憧れ」

6/20/2024, 10:00:39 AM

相合傘

靴箱から出る
朝は晴れだったのに今は「ザーザー」となる大雨。
折り畳み傘もっててよかった
そう安堵していたときに視界の右端にうつったのは困り顔をする好きな人。
(傘ないのかな)
(傘がある自分+傘がない好きな人=相合傘できるチャンス!?)
「良かったら途中まで一緒に帰らない?」
「傘!あ…る……し」「どうかな?」
「いいの?じゃあその言葉に甘えさせてもらおうかな」
「うん、いいよ!」

最初で最後かもしれない。
君と僕が2人きりで帰れるのは……。
君にとっては365日の中のある1日の一時。
僕にとっては一生の中で1番大切な一時。
彼女の家の前についた。
「じゃあね。」
「うん!傘ありがと!」
「ううん。気にしないで。」「バイバイ。」
「うん!バイバイー!」

1人で歩いていった先にはたくさんのサクラソウが咲いていた。そんな所で僕は一粒の涙を流した。
「バイバイ、僕の…………。」
最後に言った言葉は今日1番の大雨によってかき消された。




サクラソウの花言葉「叶わぬ初恋」

6/18/2024, 12:12:26 PM

落下

「っは……はぁはぁ」
またこの夢だ。階段から落ちる夢。
身体がビクッって動いて、良くも悪くも目が覚める感覚。正直心臓に悪いからもう止めてほしい。
そう思ってもまた同じ事を繰り返す。
だから、毎日毎日夢のことしか考えられなかった。
(怖い。どうしてこんな夢ばっかりなんだろう。
はやく終わってほしい。)
だが、そんな思いとは反対にやむことのない夢。
そんな現状にもだんだん慣れてきて、恐怖が疑問へと変わっていった。
(なんで、こんな夢ばかりなんだろう。)
(なにか理由があるのだろうか。)
「🔍️階段から落ちる夢 なぜ?」
「それは失敗や挫折の暗示です。」(諸説あります。)

「失敗と挫折の暗示………か……」
正直そんなものは思いつかなかった。
だってまだ未成年。乗り越える壁も低いし、なりより挑戦をしていない。
そう思っていても夢から解放される訳はなかった。
(はぁ……もう、無理なのかな、、、)
(もう、いっそ諦めてみようか……)
(うん、そうしよう。)
そこから夢に関して考えることをやめた。
すると不思議に夢も徐々に減っていった。

案外考えてないほうが上手くいく場合もあるもんだ!大きなことを新しく学んだ1日となった。

6/15/2024, 9:04:03 AM

あいまいな空

空が暖色と寒色がきれいにグラデーションしている時間。そんな時間にあるマンションの一室、落ち着いた声が響いていた。

「今は朝、昼、夜のどの時間か分かる?」
「分からない。」
その答えで僕の心は喜びで満たされていた。
それもそうだ。こんなに時間がかかったんだから…
1週間ほど前、ある1人の女性を誘拐した。
始めは反抗的で、毎日叫んでいた。「助けて!」と、助けなんてくるはずないのに………
そう思いながらその光景を眺めるだけで、僕がこの子を誘拐した利益が十分にあったと言えた。

その子のいる部屋はシャッターが完璧にしまっていて、日の光なんてものは1ミリも入ってきてこない。おまけに時計もない。いつか狂って、朝か夜か区別できなくなってしまったらどれだけよいものか………。そう期待を高めながら、毎日同じ質問をする。
「今は朝か昼か夜どれか分かる?」
「夜。」
まぁまだ1日目だし、こんなもんだろ。

そう思って始まった誘拐生活も早1週間。
長かったやようで短かった。
(けっこうこの子ちょろいな)
そんなことを思いながら、さっきの答えが脳内をループしている。(「分からない。」)
あぁ、まさか1週間で感覚が麻痺するなんて…。
おかげで、あの子は虚ろな目をしている。
部屋の隅には睡眠薬。
(あぁ、可哀想。なんもしてないのにね。)
そう思いながら笑みを向ける。
彼女は無表情。だが、それすらも可愛さを感じた。
(よし、今日はこれぐらいでいいかな。)
そう思ってその一室から出る。「ガチャ。」
鍵かけも万全だ。

この先は僕がしらない話。
僕が去っていった瞬間、彼女の目は一回まばたきをすると、しっかりと焦点があっている目へと変化した。
(まじ、あいつちょろすぎ)

今は、朝か、昼か、夜か、それともそれ以外か……
彼女はシャッターを開けながら思った。
(ほら、やっぱり夕方じゃん。)
彼女が見上げる空には、虹色に近いあいまいな空が広がっていた。

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