Noir

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相合傘

靴箱から出る
朝は晴れだったのに今は「ザーザー」となる大雨。
折り畳み傘もっててよかった
そう安堵していたときに視界の右端にうつったのは困り顔をする好きな人。
(傘ないのかな)
(傘がある自分+傘がない好きな人=相合傘できるチャンス!?)
「良かったら途中まで一緒に帰らない?」
「傘!あ…る……し」「どうかな?」
「いいの?じゃあその言葉に甘えさせてもらおうかな」
「うん、いいよ!」

最初で最後かもしれない。
君と僕が2人きりで帰れるのは……。
君にとっては365日の中のある1日の一時。
僕にとっては一生の中で1番大切な一時。
彼女の家の前についた。
「じゃあね。」
「うん!傘ありがと!」
「ううん。気にしないで。」「バイバイ。」
「うん!バイバイー!」

1人で歩いていった先にはたくさんのサクラソウが咲いていた。そんな所で僕は一粒の涙を流した。
「バイバイ、僕の…………。」
最後に言った言葉は今日1番の大雨によってかき消された。




サクラソウの花言葉「叶わぬ初恋」

6/20/2024, 10:00:39 AM