Ryu

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8/30/2025, 4:07:07 AM

私の心の中の風景は、いつも曖昧だ。
懐かしくて、家族の誰かが笑ってる。
その場所がどこなのかも分からないけど、何故だか懐かしい。
そしていつも、もう一度その場所に行ってみたいと願っている。
その願いは、未だに叶っていない。

説明するなら、片田舎の道路を車で走っている。
きっとどこか、楽しい場所に向かっているのだろう。
だけど、思い出すのはその楽しい場所ではなく、そこへ向かう途中の車内の風景。
いや、運転手の私からすれば、フロントガラスの向こうを見ているだけだから、車内の状況なんて見えやしない。
でも、助手席や後部座席で家族が笑ってる。
楽しそうに。

仕事の合間などに、不意に思い出す。
そして、週末に向けて心がワクワクする。
とはいえ、もちろん週末になったとてその場所に辿り着くことはない。
それの繰り返しのような一週間。

最近、気付いたんだ。
この、心の中の風景は、存在しないんだって。
記憶じゃなくて、想像であり、創造なんだって。
だから、ちゃんとした形にならず曖昧なままなんだって。
ただ、家族で楽しい場所へ向かっているというワクワク感が映像化されたもの、それを、週末を夢見ながら仕事中に垣間見てる。
そーゆーことなんだろう。

心はいつだって、幸せに向かっている。
だからきっと、こんな心の中の風景を作り出す。
フロントガラスの向こうには、見覚えのない風景が流れてゆく。
だけどどこか、懐かしくて、曖昧で、ワクワクする。
この風景が心に浮かぶ限り、自分は大丈夫だ、幸せなんだと思える。
この感情を、大切にしていきたい。

8/29/2025, 1:50:21 AM

夏草や兵どもが夢の跡。
今の日本に、兵どもはいない。
兵どもが栄華を誇った時代は終わった。
その代わりに、大人達が、サラリーマンが、闘う。
いつの日か、この戦場も夏草で埋め尽くされるのかもしれない。
華やかなる文明を築き、優雅なる文化の果てに時の流れの残酷さを知る。

夏草は揺れ、人の姿は無く、遥かなる彼方で飛び立つ鳥の群れ。
いつか、この世界が終焉を迎える時、あの戦禍さえ懐かしく思える日が来るのだろうか。
草いきれの漂う昼下がり。
河原の土手を散歩する。
遠く、入道雲が道を塞ぎ、アスファルトはじりじりと熱に焼かれ。
無意味な空想が脳裏を通り過ぎていった。
兵どもが夢の跡。

8/27/2025, 4:07:02 PM

ほら、ここにあるよ。
君の大切なプライド。
持って帰れば?
失くすわけにはいかないんでしょ?

もういくつか持ってる、って、ひとつでも欠けたら不安で仕方ないんでしょ。
知ってるよ。君の友達や彼女から聞いた。
いや別に、ディスってるわけじゃないでしょ。
なんでそんなに怒ってるの?
そうか、周りの人に不本意な噂を流されるのは、プライドが許さないんだね。

ここにあるのは、どんなプライドなの?
イジメられて自殺した弟を蔑まれたくないプライド?
ああ…それは持って帰りなよ。
どうしてって…大切なんでしょ?
君にとって、弟さんは揺るぎない誇りだったんだから。
そのプライドは守り続けて。
弟さんの分も。

ほら、ここにあるよ。
君の大切なプライド。

岡本太郎さんはね、
「たとえ、他人にバカにされようが、笑われようが、自分がほんとうに生きている手ごたえを持つことが、プライドなんだ」
そう言ってます。
もう生きられない弟さんの分も、君がしっかりとプライドを持って、そのプライドを打ち砕こうとする力と闘って。

その強さは、今ここにある。
君のハートの中に。

8/26/2025, 1:32:05 PM

前回に引き続き、真っ暗闇の空間だった。

もう一歩だけ、前に出てください。
あなたの勇気を測定します。

とか言ってる。

待つのは奈落の底か、凶暴なワニか、それとも…。
人生を大きく飛躍させるために、思いっきり両足でジャンプした。
果たして、そこにあったのは、第三の刺客、犬の糞。
俺はその刺客の上に、見事なほどに着地する。

そう、素足のままで…。

8/26/2025, 2:23:00 AM

もう一歩だけ、前に出てください。
あなたの勇気を測定します。
この真の暗闇の中で、あなたが一歩踏み出す先には、奈落の底が待っているかもしれません。
凶暴なワニが口を開けてあなたを飲み込もうとしてるかも。
もしかしたら、犬の糞を踏んでしまうくらいで済むかもしれませんね。
さあ、どうなるのかはやってみないことには。
もう一歩だけ、前に出てください。

何?新手のサギ?
なんで俺、こんなとこにいるの?
えーと、夕飯にココイチでカレー食って店を出たとこまでは覚えてる。
それから…あれ?家に帰った記憶が無いな。
どこかで拉致られて、ここに連れて来られたってことか?
誰が?何のために?

誰が?何のために?なんて思っていることでしょうね。
先に言っときますが、その答えはありません。
とにかく、あなたの勇気を試したいのです。
さあ、もう一歩だけ、前に出てください。
そこでどうなるかは、踏み出してみなくちゃ分からない。
ワクワクするでしょ?
人生って、そんなもんですよ。

いや、こんな真っ暗闇の人生なんて嫌だけど…一寸先は闇、って状況じゃん。
ワクワクなんてしないよ。
でもまあ、動かないことにはこの状況から抜け出せないみたいだし、一歩、踏み出してみるか。
どうせ暗闇で、何があるのかも分からないんだし。
よっしゃ、こうなったら、一歩どころかジャンプしてやるよ。
俺の人生、でっかく飛躍するんじゃないか?

…そこは、ココイチの駐車場。
誰もいない。
特に何も…変わっていない。
「あっ」
足元を見ると、100円玉が転がっていた。
奈落の底でもなく、凶暴なワニでもなく、100円玉。
そりゃまあ、俺の人生、こんなもんだよな。
でも、犬の糞を踏んでしまうよりはマシか。

暗闇の向こうには、何があるか分からない。
そこに立ってみるしか、知る方法はない。
それが吉と出るか、凶と出るか。
もしくは、おみくじは答えをくれず、変哲のない日々が続くのかもしれない。
それでもきっとどこかで、勇気は試される。
それが人生だ。

さて、ココイチも美味かったし、帰るとしよう。
それにしても、あの声は誰だったんだろうな。
なんだか偉そうだったな。
そもそも、俺の勇気を測定してどうしようってんだ?
まあ、聞いても教えてくれないんだろうな。
いや…考えてないんだろうな、が正しいか。
行き当たりばったりだからな、あいつ。

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