Ryu

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8/9/2025, 3:45:29 AM

ほっぺたをつねったところで、それが夢の中なら痛みも感じない。
そしたら目を覚ますこともないし、「良かった、夢じゃない」とか安心するのはまだ早い。
宝くじが当たったり、受験に合格したり、告白した相手にOKもらったり。
それ全部、夢かもしれないよ。
目を覚ましたら、見慣れた現実が待っているかも。

まあ、勝負はいつだって現実で行うものだから、夢じゃなくて良かったパターンも多々あるけど、逆に「夢で良かったー」ってのも多い。
むしろそっちの方が身近に感じるほど。
大抵そーゆーのは、悪夢を見た時じゃないだろうか。
こんなんじゃもう終わりだー!とか嘆きながら目を覚まし、いつもと変わらない家族との日常の中にいることを理解した時の安堵感。
何度味わったことだろう。

全部、自分が作り出した夢なんだけどね。
いつの日か、自分が見たい夢を自由に見られるような技術が生まれるのなら、眠ることがより楽しみになって、その反面、目を覚ますたびに肩を落とすことになるのだろうか。
現実の日常に不安があるから悪夢を見るのでは?と思っているが、それすらも制御することが可能になれば、もはや夢の世界はパラダイス。
そんな世界も夢じゃない。
たぶん、きっと。

現実に戻れなくなる人続出!なんてニュースが出回るかもな。
だって、夢を見てる人にとって、その世界は現実でしかなくなる瞬間がある。
脳が認識したもので我々はモノを見てるから、それも当然と言えば当然。
さて、今自分が見ているものは、果たしてどっちなんだろうか?

8/8/2025, 4:33:43 AM

いつだって、自分の進むべき道を決めるのは自分だと思っていた。
自分の心の羅針盤に従って、自由に生きているんだと。
でも実際には、周りの人達の言葉や、メディアに流れる情報、自分が置かれている現状を意識して、物事を決めてきたんだと思う。
影響を受けているにしても、その上で決めたのは自分だとも言えるが、もしもそれらの影響が無かったら、自分は同じ道を選んだだろうか。

まあ、何の参考情報も無しに、物事を決めるリスクだってある。
この情報過多時代、情報を制す者が世界を制すとも言える。
必要なアクションだったんだと思う。

ただ、ネットでモノを買う時の、ユーザーレビューやメーカー広告には流されないようにしないと、届いて箱から出した瞬間に絶望することもある。
最近では、AIロボット犬やサーキュレーター。
あんなフェイク動画を見せられたら、心の羅針盤も狂うってもんだ。
特に犬。
これなら猫と喧嘩もしないだろうし、犬と猫、どっちも飼ってると毎日楽しいんじゃないかなーなんて。
あぶない、あぶない。
いつだって、心の羅針盤は曇らせないように、狂わせないように、外からの情報を選別できる精度を保とう。

可愛い猫が三匹もいればそれでいいじゃないか。
私の心の羅針盤がそう言っている。

8/6/2025, 9:57:50 PM

「それじゃあ、またね。元気でね」
君が右手を差し出した。
でも、僕の右手はポケットの中。
「またね、とか、またいつか、とかって、もう会うつもりのない相手に使う言葉じゃない?」
仏頂面で僕が言う。
「そんなことないよ。また会いたい、って心から思ってる。それがいつになるかは分からないけど、その気持ちは本当だよ」
君が右手をそっと下ろした。
心がチクリと痛む。
「もう少し、君が大きくなったらね、もっといろんな話が出来るようになったら、また会おうよ」
君は僕を見下ろして、僕の大好きな笑顔を見せてくれる。
でも今は、その笑顔が悲しくて涙があふれそうになる。
「その頃には、今のこの気持ちなんて忘れてるかもね。僕だって大人になるんだ。いつまでも君のことなんて…」
僕の言葉に、君は優しい笑顔のまま頷いて、言う。
「そうだね。君も大人になるんだよね。それが楽しみ。私のことを忘れてしまってもいいよ。きっとその頃には、お互いが違う幸せを見つけてるのかもね」
…そんなことない。
言おうとしたけど、何故だか言葉が出なかった。

電車が、発車のベルを鳴らす。
君が、本当に大好きだった君が、僕の目の前から、消えようとしている。
またね。
もう一度君がそう言って、大きな荷物を抱えて、車両に乗り込んだ。
ドアの向こうに姿を消した君を、僕はいつまでも見つめている。
君は、振り返らない。
いつだって君は、涙を見せない人だった。

走り去った電車を見送って、悲しかったけど、こんなところで悲劇の主人公を気取るのは嫌だった。
君とのたくさんの思い出が頭の中を巡ろうとするのを断ち切って、僕はホームを歩き出す。
だって僕は、大人になるんだから。
大人になって、君の期待に応えられるような大人になって、もしもまた会える日が来るなら、その時の僕にとっての幸せを君に伝えたい。

またね。
心の中で君にそう言って、僕は改札を抜けた。

8/5/2025, 9:51:14 PM

あなたは風 私はシャボン玉
夕暮れに空を舞い 遠い世界へ運んでくれる

いくつもの泡 次々と生まれ来る
大空を背景に 描いた水玉模様のように

どこかで誰かが泣いているのを見たら
目の前で弾けて驚かせてあげよう
その人がまた新しい泡を作って
大空に舞い上がらせてくれる

泡になりたい あなたという風に包まれて
泡になりたい あなたが行く先を決めてくれる
たとえばどこかの街で 消えてしまうとしても
泡になりたい あなたという風に包まれて

あなたは夢 バブルのように弾けて
あの時代を思い出す 賑やかなりし豊潤な世界

どこかで誰かが踊るその姿は
あの頃を象徴するビジュアルに包まれて
華やかなステージを彩っていた
いつまでも続くと思っていた

泡になりたい あなたという夢に包まれて
泡になりたい 弾ける前の世界に戻りたい
たとえば誰かの嘘で 溶けてしまうとしても
泡になりたい あなたという夢に包まれて

あなたは風 私は流される
根無し草のように この世界を自由気ままにどこまでも
たとえばどこかの街で 消えてしまうとしても
泡のままでいい あなたという風が吹くのなら

8/4/2025, 10:03:08 PM

ベランダで、アイスを食べていた。
マンションの六階。
街を見下ろす。
今日も暑いな。太陽の熱が半端ない。
食べるより早く、アイスが溶けて消えそうだ。
どうせ溶けるなら、胃の中で溶けてくれ。

昨夜、妻と喧嘩した。
ゴミ出しルールで意見がぶつかって。
今頃はまだ、寝室のベッドで爆睡中だろう。
さて、コーヒーでも淹れて、ご機嫌取りに伺おうか。
今日から僕も妻も夏休みだ。
つまらない意地の張り合いで、せっかくの休日を無駄にしたくない。

「あー勝手にアイス食べてる。どれ食べるか、二人で決めるって言わなかったっけ?」
読みが外れて、起こしに行く前に妻が自力でベッドから脱出してきた。
窓を開けてベランダに出てこようとして、動きを止める。
「無理。こんな暑い中、よく外にいられるね。熱中症になるよ」
…確かに。アイスはすでに溶けきっていた。

今年の夏も暑いな。
今からこんなんじゃ、12月になったらどれほど…熱で頭をやられているようだ。
「ゴミ出し行ってくれた?昨日私が言った通りにやってよね」
はいはい。すべては君の言う通り。
「…何?何か不満?」
そんなことないって。
ただね、アイスがすでにふたつほど減ってたなーって…言わないけどね。

さて、この猛暑の中、今日はどこへ行く?
君と一緒ならどこへでも…言わないけどね。
「えーこの暑いのに出掛けるの?いいじゃん、家でのんびりしてようよ」
そうきたか。まあ想定内。
夏の君の生態も、何となくは把握できてきた。
付き合って三年。結婚して一年。
生活をともにするってこーゆーことなんだな。
昨夜の喧嘩をまるで引きずっていない君も、想定内。

まあとりあえず、減ったアイスの補充はしなくちゃ。
これがないと君の機嫌が悪くなる。
たとえ君がこっそり一人で在庫を減らしてるとしても。
たかがアイスで君と僕の楽しい夏休みが約束されるなら、冷凍庫をハーゲンダッツでいっぱいにするのも悪くない。
そして毎日、君とアイス三昧。
そんな夏休みになりそうだな。

二人が、楽しいと思うことを、楽しもう。
ただいま、夏真っ盛り。

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