Ryu

Open App
8/2/2025, 1:32:47 AM

誘っても、汗だくのデートは嫌がられるかな。
映画とか、水族館とか、美術館とか、空調の効いた屋内デートも悪くないけど、僕は思うんだ。
君はやっぱり、太陽と青空の下が似合うって。
天真爛漫で、無邪気で、自由奔放で、知的さは…あんまり感じさせないけど、そんな君だから、大空をバックにした笑顔が見たい。

まあ、僕もこの暑さには辟易してるけど、それでも目の前で君が微笑んでくれる魔力には勝てないんだよな。
だから8月、君に会いたい。
夏休みは、二人でどこかに行きたい。
出来るだけ涼しくて、空が広い場所。
そのブルースクリーンの下で、笑顔で走りまくる君の姿が見たい。

妻と別れて五年。
君はもう中学生だって。
天真爛漫で、無邪気で、自由奔放な君はまだいるのだろうか。
僕の記憶の中では、今でもあの頃のままの君が、秋晴れの公園を笑顔で走りまくってる。
もう少し涼しくなるのを待って、君を誘おうかと思っていたのだけれど、君に新しい父親が出来ると聞いてね。
その前に、君のたった一人の父親として、二人だけの時間を過ごしたいと思った。

自分勝手なことは分かってる。
こんな暑さの中、しかも屋外で会おうとするなんて。
だけどね、真夏の君はやっぱり、太陽と青空の下が似合うと思うんだ。
そして、目の前で君が微笑んでくれる魔力には勝てないと。
たとえどんなに今、心が離れているとしても。

だから8月、君に会いたい。

8/1/2025, 1:50:42 AM

カーテンの隙間から差す光が眩しくて、目を覚ました。
寝ぼけ眼を擦りながら時計を見ると、深夜二時。
…ん?この明るさは何だ?
ウチの周りにこんなに明るい光源は無かったはずだ。
隣の家が防犯のセンサーライトでも付けたか?
聞いてないぞ。
…などと思いながらカーテンを開ける。

そこには、光り輝く老人と思しき存在が立っていた。
いや、よく見るとそれは、窓の向こうで1メートルほど宙に浮いている。
これは…危険なものか、それとも、ありがたいものか。
判断がつきかねる。
何より、眩しくて表情すら分からない。

だが、無造作に伸びた白髪、そして髭。
これは、神様の風貌そのものではないか?
だがしかし、彼の右手にはハサミが握られている。
あのハサミは、凶器として使われるものでは?

だが、あの白装束は、神様が着るにふさわしい衣装だ。
柄シャツなんて着てる神様は見たことがない。
だがしかし、よく見ればその白い服の所々に赤い斑点が。
あれは、返り血を受けた跡では?誰かを刺した?

だが、尊い存在である証に、彼は宙に浮いてるじゃないか。
あんな芸当が出来るのは、神様か教祖様くらいだ。
だがしかし、彼の首の辺りから、一本のロープが我が家の物干し竿に伸びているのがうっすらと見える。
ん?ウチの庭で何してくれてんだ?
いや、それよりも、なんで輝いてんだ?
現実に気付いた途端に、彼の輝きは薄れていった。

思えば、このカーテンを開けることなど滅多になかった。
そこは裏庭で、物干し竿を設置していたものの、一人暮らしの私は洗濯も面倒で、最近ではコインランドリー通いをしていた。
まさかいつの間にか、そこに浮浪者が入り込んで首を吊っていたとは。
ところが、しなる物干し竿ではうまく死ぬことが出来ず、彼は私の留守中に部屋に忍び込んで、ハサミを調達した。
それで自分を刺し、ご丁寧に、再び物干し竿で首を吊って…そんなところらしい。

すぐそばで揺れているのに気付かずに、のほほんと暮らす私に存在を知らせたかったのかもしれない。
そこで、気付かれるために発光技術を身に付けた。
もはやそれが、神の領域ではないだろうか。
…いや、勝手な想像だが。
輝きが薄れ、やっと見えるようになったその表情は、穏やかな笑顔に包まれていた。
それはまるで、布袋様と見紛うほどの…いやもう、こじ付けはやめとこう。

ちなみに、彼が全身にまとっていた白装束は、私が数ヶ月前に干したまま、すっかり忘れていたベッドシーツだった。
…寒かったのかな。
人生の最後に、少しでも心の安寧を与えられたのなら、それも良しとしよう。
まあ、廃棄処分だが。

7/31/2025, 2:56:00 AM

熱い鼓動 …不整脈、かな。
この歳になるとそんな連想ばかり。
安静第一。
煉獄さんに「心を燃やせ」と言われても、感動はするが実演は出来ない。
まあ、鬼を目の前にしたら別だけど。

現状、一番鼓動が熱くなるといったら何だろう?
この季節、外に出れば全身が熱くなるわけだが、その暑さにやられて心は消沈してゆく。
涼のある場所を求めて歩を進めるばかりだ。
まるでゾンビのような…熱い鼓動とは対極にいる存在。
いや、鼓動そのものが止まっているのか。
あ、でも、最近やっているゲーム。ゾンビと闘っている。
これは熱くなるね。時にはハラハラドキドキ、手に汗握る。
所詮自分は、快適なリビングでテレビの前に座っているだけだが…そんなスリルの疑似体験。

例えば、昨日の津波警報のような非常事態が身の回りで起きたら、こんな自分でも、生き残るために心を燃やすのだろうか。
もしかしたら、その時こそ生きている実感を得られるのかもしれない。
いや、決してそんな状況を望んではいないが。

いつの日か人生の終盤で、煉獄さんのように「俺は、やるべきこと果たすべきことを全うできましたか?」 と誰かに尋ねた時、「立派に、とは言えないが、それなりにやるべきことやれたんじゃない?知らんけど」ぐらいの答えがもらえるように、熱くはなく温かいぐらいの心持ちで、この先を生きていきたいと考えている。
安静第一。

7/30/2025, 3:35:25 AM

ボヤッキー。
昨日、「もう、あと二日で七月も終わりか。結局、災難なんて起きなかったな。あんなに騒がれてたのに」と思いながら帰宅した。
そして今朝、M8.8の地震と津波警報。
このタイミング。不安を煽る。
現時点では被害の状況も見えないし、願わくば肩透かしであって欲しいと願うが、東日本大震災の惨状も目の当たりにしてきた我々は、決して対岸の火事で済ますことは出来ない。

あの二日だったのにな。
乗り切ったと思ったのにな。
身構えていない頃を狙ってやって来るのが災難か。
この絶妙なタイミング。
この先、被害が拡大していかないことを切に願う。

7/29/2025, 4:39:57 AM

虹のはじまりは、太陽と雨粒。
探すまでもなく、当たり前に存在する。
タイミングとしては雨上がりか。
そこに陽が差して、大気中の水滴に反射して七色に輝く。
素晴らしい自然が生み出す現象だ。
人間が作り出すものと競い合うように、自然はその驚異を見せつけてくる。
例えば、花火と虹。
大空に描かれる作品として、趣きは違えど同様に美しい。

この夏の暑さもそうだ。
数ヶ月前の涼しさが思い出せないほど猛暑な日々が続いているが、人間はそれに対抗しうる技術を次々に生み出している。
…あまりの暑さに、技術が追いついていない感もあるが。
願わくば、自然に抗うものではなく、花火と虹のように美しさを競い合うものであって欲しい。
我々人間だって、この自然の驚異が生み出したものに違いないのだから。

虹のはじまりを探して、それは当たり前に存在する要素の組み合わせだが、それが虹を生み出す確率はそう高くない。
だから人は、虹を見つけると喜びを感じる。
花火のように大勢の人々を集めることはなくても、どこかで偶然出会えたら、きっとその心に小さな幸せが芽生えるだろう。
虹のはじまりは、人の幸せのはじまりなのかもしれない。

Next