もうすぐ、これを始めて一年が経つ。
誤解を恐れずに言えば、私はここで、幾人かの知り合いが出来た。
仲間と言ってもいいかもしれない。
同じ楽しみを共有する仲間。
書くことに、そして読むことに。
顔も名前も素性も知らない。
コンタクトは、ハートマークを送るのみ。
それでも、何かが通じ合っていると、勝手に思っている。
だって、想いを届けて、それを受け止めてくれる訳だから、これは立派な意思の疎通じゃないか。
アンサーがなくとも、だからこそ火花を散らすこともない。
ただ、レビュー等で知ったところによると、日々楽しみにしているこの「お題」は、一年で一周して、また振り出しに戻るらしい。
なるほど、そりゃそーだよな。
365個のキーワードだって、用意するのは大変なんじゃないかな。
でもそーなると、この習慣を続けるのも、あと17日ほど?
二周目は、ちょっとキツイよなー。
一周目だってキツイ時はあったし。
とゆー訳で、この習慣の終わりが見えてきてるような気がする。
それはそれで、ちょっと寂しいけど。
もちろん、だからといってサヨナラを告げて去っていくようなもんでもないと思うし、誰にも知られずにひっそりと消えていくのだろう。
それもまた良し。
だから、さよならは言わないで。
…うん、無理やりだけど、何とか繋げたぞ。
こんなんで一年、やってきたような気がするな。
お目汚しの文章で一年間。
だけど、今回のお題も何とか無事?クリア出来たから、もう一周、やれるだろうか。
乏しいアイデアを絞り出して、また新たな気持ちで一年間、やれんのか?ホントに。
…ま、いっか。
その時が来たら、考えよう。
だからまだ、さよならは言わないで。
国中から嫌われた男。
テレビやスマホの中でしか見ることはなく、本当の素性は分からないまま、マスメディアからの情報だけがすべてで。
それを信じるしかない故に、悪い奴だというイメージを植え付けられて、心の中で蔑みまくる。
何の恨みもない一人の男を、最低の人間だと決めつけて、まるで自分が正義の番人であるかのように。
そして、すべてはひっくり返される。
ひっくり返されると、今まで聞いていた言葉のイメージが、まるで違う側面を見せてくる。
人道外れるセリフだったのが、苦渋の決断の末だったかのように聞こえたりして。
つい数ヶ月前の自分の感覚が恥ずかしくなるほど、善と悪がごちゃ混ぜになって、答えは風の中。
もう、画面の向こうの世界のことなんて、何ひとつ信じられないや。
判断材料になる情報が、すべて操作されたものだったら、正解になんて辿り着ける訳がない。
騙されて、振り回されて、光と闇の狭間で翻弄されるだけ。
希望と失望が交互に見え隠れしてる世界だ。
目の前のことしか、信じちゃいけないのかもしれない。
投票率が低迷するのも頷ける。
いったい、何を信じて自分の一票を投じたらいい?
テレビやネットで語られていることが、すべてデタラメな可能性だってある。
いや…実際にデタラメが横行してる。
だから日本は30年も…以下省略。
人は人を騙せる生き物だ。
騙されていない保証など、どこにもない。
じゃあどうするのか。
私の答えは単純だ。
自分が本当に信じられる候補者が出るまで、誰も選ばない。
消去法で、この中だったら…この人か?なんて選び方で、本当に意味のある投票だと言えるのだろうか。
投票率の低さは、もっと政治を信じられるものにしろという、国民からの訴えと捉えよ。
その手段を講じる責任も、彼らにはあるはずだ。
国中から嫌われた男を、改めて信じた人達は報われるのか。
それはきっと、この先も二転三転していくのではないだろうか。
完璧な人間はいない。
だから、どこか「賭ける」部分も必要なんだと思う。
でも、政治はギャンブルではない。
もっと本当の情報を、そして本当の人となりを知ることが必要なんだ。
何故なら、人は人を騙せる生き物だから。
あなたから離れたい一心で、私は飛び続けた。
あなたからは、謝罪とやり直したいのメッセージが届いたが、私は飛び続けた。
あなたとの距離はどんどん離れてゆく。
それが少し心地良くて、私は飛び続けた。
今まで近くにい過ぎたのかな。
それが幸せだと思っていたけど。
あなたから遠く離れれば離れるほど、希望と不安がごちゃ混ぜになって、もっと遠くへと願うと同時に、あなたのもとへ戻りたいという気持ちが芽生え始める。
だけど私は飛び続けた。
もう、自分を止めることは出来そうにない。
なのに、あなたに会いたい気持ちも強くなってゆく。
心が張り裂けそうな、今をどうにも出来ない無力さに打ちのめされた。
そして、一年後。
どれだけ遠く、あなたから離れただろう。
ずっと飛び続けた。後ろも振り返らずに。
私は渡り鳥。地球が丸いことも知らない。
あなたとの距離は、遠ざかるとともに近付いてゆく。
見覚えのある景色に、あなたの姿を認めた時、自然に笑みがこぼれるのを、抑えることが出来なかった。
うん。僕はもうすぐ行くよ。
もうすぐ命が尽きるみたいだ。
頑張ったんだけど、もうダメみたいだ。
最近、食べても全部戻しちゃって、床を汚して迷惑かけたね。
悪気はなかったんだよ。
でも、自分では片付けることも出来なくて。
ごめんね。
あの日、君達家族に迎えられて、あの子がまだ赤ちゃんの頃から僕はいたんだよ。
いつの間にか、あの子が大きくなって、僕を抱っこしてくれるようになって、気付いたら僕はおじいちゃんだった。
こんなに小さいままなのに。
これ以上大きくならないのに。
僕と君達は、違う生き物だから。
一緒の布団で寝たり、玩具でじゃらしてもらったり、ずっと一緒に過ごしてきた。
楽しかったな。ごはん、美味しかったな。
ずっとずっとずっと、幸せだったな。
この家に貰われて、この家族の一員になれて、ホントに幸せだったな。
だから、泣かないで。笑顔で僕を見送って。
…そんなもん、無理に決まってるだろ。
あいつら、僕達が遊んでた場所、奪いやがってさ、あそこに隠してたお菓子とか漫画とか、全部自分達のもんにしやがった。
世界史の先生が、友達とは仲良く分け合って、喧嘩になる前にちゃんと話し合って、って言ってたのに、あいつら全然話聞いてくれないんだよ。
卑怯だよな、許せないよ。
何とか取り返さなきゃ。
泥玉作って投げたり、地面に爆竹仕掛けたり、校舎の二階から水風船落としたり。
いろいろやったけど、あいつらまったく立ち去ろうとしない。
そろそろ仕返しが怖いよな。
なんか、ヤバイ反撃手段を用意してるって。
もうこうなったら、あの手しかない。
校長先生が、絶対使っちゃダメって言ってたけど、もう仕方ない。
僕は、常備しているブリーフケースを開け、禍々しく赤いボタンを押す。
そのカバンの名前は「フットボール」
それは、僕達の世界にとって、長い冬の時代の始まりだった。