街は彩られ 君は色めいて
こんな季節に不似合いな 情熱を燃やす恋の始まり
君が笑った 君の夢を見た
ただそれだけの誘惑でも 想いは募り身悶える秋恋
枯れ葉散る前に想いを伝えよう
枯れ葉散るとともに この恋が散らぬように
君がまるで僕に興味を持っていないとしても
明日からの僕に少しでも視線を向けてもらえるように
秋は恋の終わりの季節だって
意地悪な友達は訳知り顔で言う
街路樹がアーティストを気取る季節に
うまくいく恋愛はドラマの中だけだって
街は彩られ 僕は色めいて
こんな季節に成就させる 実りある果実のような秋恋
僕が祈った 秋晴れの空に
いわし雲が浮かんでいた のどかな魚達が泳いでいた
枯れ葉散る前の色づいた通りを
僕と君が肩を並べて 歩く日をずっと夢見てる
「少し寒いね」と身を寄せる君を温めるように
ポケットの中でつないだ手を離してしまわないように
秋恋は少し切なくて それでも優しくて
秋恋が実るのならば 次の季節も二人で
ずっと一緒にいたい ずっと君と二人で
秋空のような女心に 振り回されたって
やっぱりこの年になると、若い気持ちを大事にしたいと思う…のは私だけだろうか。
いや、もちろん無理があるのは分かっちゃいるが、体は年相応であって仕方ないにしても、心ん中ぐらいは少しでも新鮮な状態を保ちたい。
誰かと話す時でも、こうして文章を綴る時でも、年老いた気持ちになる言葉は出来るだけ使いたくない。
とは言っても、今の若者言葉を吸収するつもりも毛頭ないが。
まあ、元々どこか、大人になりきれない自分がいるんだろう。
見た目ではなく、精神的に、知識的に、心情的に。
同い年の同僚と話していても、気後れを感じることがある。
自分は世間知らずなんじゃないかと不安になるくらい。
でも、興味を持てないことに知識が薄いのは当然の話。
そして、人の興味は千差万別。正解なんてない。
最近では、アニメとかアイドルとか、いわゆるオタクって文化が受け入れられてきて、これを趣味だと宣言することに何の抵抗も無くなっている気がする。
自分が若い頃は、その上の世代の目が気になって、アニメの話とかあんまり出来なかったような…ああ、「自分の若い頃」とか言い出したらオッサン確定だな。
いやまあ、確定してるには違いないんだけど。
やっぱり、「時間よ止まれ」と願わずにはいられない…ああ、これは前回のお題か。
…話がとっ散らかってきた。
要するに、可能な限り若返りたいってこと。
いや、これは不可逆だろうから、気持ちだけでも若いつもりでいたい。
そんな気持ちを大事にしたい。
そして今、若さを持て余しているような人達に、「光陰矢の如し」どころか、「光陰マグナムの弾丸の如し」であることを、お伝えしておきたい。
楽しい時間を過ごしてて、それがもうすぐ終わりそうな時、このまま時間が止まらないかな、なんて思うけど、よく考えてみたら、時間が止まったら、この楽しいこと自体がストップしちゃう訳で、なんなら自分の思考から行動までが静止するのかもしれない。
世界が止まってるのに、自分だけは動けるなんて調子良すぎるよな。
それはさておき、楽しいことをしてる時と、そうじゃないことをしてる時の時間の経過感覚が違いすぎないだろうか。
神様の嫌がらせかと思うくらい。
仕事に耐えて耐えて耐えて、やっと夏休みに入ったかと思うと、一瞬で終わる。
まあ、一瞬だと思うのは夏休みの最終日になってのことだが、十分休んだと満足出来ることなんかそうそうない。
そう考えると、どれだけ未来に期待して待ち焦がれても、いざその時が来たら、今度はそれが終わることに怯え続けるのかな。
だとしたら、仕事に耐えて耐えて耐えて、これから来る楽しいことを夢描いて頑張ってる時が一番幸せってこと?
欲しいものも、手に入れるまでのワクワクが一番大きかったりするし。
恋愛もまた然り。
とはいえ、いつまでも叶えられない夢も忍びない。
出来るだけ引っ張ってワクワクする時間を堪能して、満を持してその夢を叶えたい。
そして叶えた夢をめいっぱい楽しんで、終りが来るならまた次の目標を設定して頑張ればいいのか。
そうやって人生は進んでいくんだな。
だからやっぱり、時間は流れ続けてもらわなくちゃ困る。
…ああでも、毎週日曜日の夜に、ここで時間が止まってほしいと思うのは、私だけだろうか。
日曜日夕方から夜にかけてのまったり感、これは一週間の中で一番甘美な時間ではないだろうか。
もうすぐ終わるからこその現実逃避感覚。
サザエさんとかちびまる子ちゃんを見なくなって久しいけど、症候群は相変わらず。
こーゆーとこだけ、自分の中で時間が止まってんだよな。
夜の首都高は心を落ち着かせる。
君を隣に乗せて、湾岸線を羽田空港方面へ。
空港中央で降りて、第二ターミナルの前で君を降ろす。
「じゃあ、また来月、かな」
「あなたが福岡に帰ってきてくれれば、いつでも会えるけど」
「そうもいかないんだよ。分かってるだろ」
「分かってはないわよ。諦めてるだけ」
「分かってくれてんじゃん」
「…お母さんには何て言っとく?」
「そーだな。あいつはお国のために戦って星になった、とでも言ってくれ」
「やめなよ。言っていい冗談と悪いのがあるよ」
「お国のために頑張るのが悪いことなのか?」
「今はそういう時代じゃないでしょ。でもお母さんは…」
「分かった、分かったよ。次の正月には帰るって伝えといてくれ」
「出来るだけ、有言実行でお願いね」
「出来るだけ、な。ほら、飛行機の時間遅れるぞ」
君がターミナルに向かう後ろ姿を見送って、車をスタートさせ、夜の首都高を、さっきとは逆のルートで走らせる。
助手席に誰もいないことに、一抹の寂しさを感じながら。
誰が間違っている訳でもないのに、人生はうまくいかないことばかりだ。
会いたい人に会えなかったり、伝えたいことが伝わらなかったり。
遠く離れて暮らす、大切な人達。
それぞれの生活。それぞれの事情。
妻を乗せた飛行機は、今頃、南アルプス上空だろうか。
無事に向こうに到着して、子供達に父親の無事を伝えてもらいたい。
車窓に流れる東京の夜景は、何故か心を落ち着かせる。
きっと、その明かりの中に人々の暮らしを感じ取ることが出来るからだろう。
この街で日々を送り続けている人達の中には、きっと自分と同じように、大切な人と遠く離れて生活している人も少なくないはずだ。
どうやって孤独と闘っている?
私には、会えた時に出来るだけ軽口で返すくらいしか、この切なさを乗り越える術は思いつかない。
一人で住むアパートの部屋に帰って、私もひとつ、明かりを灯そう。
この東京の夜景に、彩りをひとつ加えるんだ。
それを見て、心に安らぎを感じてくれる人がいるかもしれない。
たとえ、今は家族と遠く離れて、会う度に別れの切なさを感じているとしても。
夢の中で花畑にいたら、懐かしい人達にたくさん会えた。
ジョン・レノンとか、デヴィッド・ボウイとか、マイケル・ジャクソンとか。
もちろん、英語で会話なんて出来ないから、花を愛でる彼らを遠目に見ていただけ。
それでも、幸せだったな。
出来れば、それぞれ一曲ぐらい歌って欲しかったけど。
花畑の横を小川が流れていて、その向こうは白い霧に包まれていた。
行ってみたい気もしたが、行ったら戻れなくなるような気がしてやめた。
霧の中で、何か恐ろしいものが身を潜めているような、そんなイメージが頭をよぎる。
背後をホイットニーが通り過ぎていったので、慌ててイメージをかき消した。
夢から覚めて、「Imagine」と「Blue Jean」と「Human Nature」、そして「Saving All My Love for You」を聴く。
当時、何度もリピして聴いた曲達。
彼らは、これらの曲達を残して逝った。
素晴らしい功績だ。
自分には何が残せるだろうか。
そんなことを考えながら、他愛もない文章を書き連ねている。
今思えば、白い霧に包まれた小川の向こうが、現世だったのかもしれない。
私は戻ってきたのだろうか。
この、何やら恐ろしいものが蔓延る現世へ。
彼らが残した素晴らしい作品を堪能できる現世へ。
ホイットニーの後をついていったつもりだったが。
まあ、所詮、夢の話だ。
あの花畑自体が、自分の頭の中の緩さそのものかもしれない。
さて、仕事も終わって、家路を辿る電車の中、いつもの風景とともに、もう一度彼らの曲を聴こう。
花畑にいた彼らではなく、この世界で生きていた頃の彼らの曲を。
その、素晴らしい作品達を。