Ryu

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6/30/2024, 9:12:22 PM

赤い糸を辿っていったら、あの人の笑顔に会えた。
あんなに好きだったのに、今はもう誰かの彼女。
赤い糸って、恋が終わっても消えてくれないのか。
断ち切りたいのに、繋がってたら忘れられないじゃないか。

触れてみたら、思いのほか太くて強い糸だった。
これはそう簡単に切れるもんじゃない。
なるほど、だから今も毎晩、僕は枕を濡らしているのか。
でもきっと、あの人から伸びている赤い糸は、僕じゃなくて今の彼氏に繋がっているのだろう。

…待てよ?
赤い糸って、将来結ばれる人と繋がってるんじゃなかったっけ?
だとしたらもしかして、この先、あの人とやり直せる日が来るのかも。
だからまだ、消えずに残っているのかもしれない。
…いや待て、そもそも赤い糸なんて、本当にあるのかどうかも分からない、怪しい迷信なんじゃないだろうか。

じゃあ、僕が辿ったり触れたりしてるのは何なのかって?
知らないよ、そんなの。
考えてみりゃ、目には見えない赤い糸、なんて矛盾してる。
見えないなら色なんてないはずだ。
僕はただ、この血管のような太くて強い糸が、まっすぐに君に続いているのが見えるだけ。 

きっとそれは、運命の赤い糸なんかじゃなくて、「絆」とか、「血縁」と呼ばれるものなのかもしれない。
だって、僕とあの人は…。

6/30/2024, 1:16:55 AM

あの映画を見たら、でっかい入道雲の向こうには、人知れず空中都市が隠されているのでは?なんて誰もが思ったりしないだろうか。
…いや、あの映画では、最後に城は崩壊して地上に落ちていったから、もうあの場所には何も無い、なんてリアル志向に考える人もいたりして。

もしくは、白い雲の間を赤い飛行機で飛んでゆく豚さんパイロットや、青き衣を纏いて小動物を肩に空を飛ぶ少女や、黒い猫と一緒に箒で空を飛ぶ魔法少女など。
いやー、ジブリはいいなぁー。

でも、ジブリといえばやっぱりトトロじゃないかと。
トトロといえば、ネコバスじゃないかと。
あの顔で優しいなんて、ある?
絶対に何か企んでる顔だ。
あとでメイとサツキの親から、法外な乗車料金ふんだくってやろうなんて。
…んな訳ないか。

猫といえば、私の実家によく遊びに来ていた野良猫が、子供を四匹産んだと言う。
全部は飼えないから一匹もらってくれないかと、実家の母親から連絡があった。
もうすでに我が家には二匹の猫がいる。
これ以上増やすのはさすがに厳しいかなと思っていたら、「二匹も三匹も変わんないっしょ」という家族の意見。
た…頼もしい。

とゆー訳で、家族がまた増えそうだ。
もう、でっかい心で迎え入れて、温かく見守っていくしかないな。
あの、真夏の入道雲のように。

6/29/2024, 12:44:54 AM

夏、ありきたりの風景。
汗にまみれて歩く。
人を死に至らしめるほどの熱波が、ゆっくりと街を覆い尽くす。
人類の英知を以ってしても、地球規模の温暖化を止めることなど出来ないし、緩和させたとて、真綿で首を絞められるようなもんだ。
いずれ、誰もが想像し得ない夏が来る。

なんて恐怖を感じるほど、暑い。
最寄り駅に着いて、職場まで歩く。
汗にまみれて歩く。
職場に着いて、空調の効いたビルの中へ。
一気に汗が引いていき、アイスコーヒーでも飲みながら、仕事にとりかかる。
ただただ、ディスプレイとにらめっこして、俺のさっきまでの人間らしい苦しみはどこへやら。

汗にまみれて歩くのは、夏、ありきたりの風景。
それもいいじゃないか。
俺達の住む世界がそうなっているなら、それは仕方ない。
暑かろうが寒かろうが、人類の英知で乗り切るしかない。
今まで人類がそうしてきたように。
まずは、最新型のハンディファンを買って…。

6/27/2024, 12:06:05 PM

ここではないどこかで、
少年は、敵兵を撃ち殺すべく銃を取る。
もはや、命を奪うことに躊躇はない。

ここではないどこかで、
母親は、我が子を守るべく瓦礫に埋まる。
大きな自然の力に為す術もなく。

ここではないどこかで、
少女は、心ない言葉や暴力に心を壊す。
遠く我が家を見下ろせる場所で、その一歩を踏み出そうとする。

ここではないどこかで、
男達は、肩が触れ合ったことに腹を立て、刃物を向ける。
どちらかが沈黙するまで終わらない争いを、周りの観客はスマホで録画し続ける。

ここではないどこかで、
老婆は、誰にも知られずにひっそりと生涯を閉じる。
家族に囲まれていた時代を思い出に、どこで間違えたのかを悔やみながら。

ここではないどこかで、
見知らぬ男が、捨てられて雨に濡れた子猫を拾う。
家族に疎まれているこの男は、心の拠りどころをずっと探している。

ここではないどこかに、
幸せなどあるとは思えない。
だから私はここにいる。
ここには幸せがあるから。きっとここにしかないから。

6/26/2024, 10:35:10 PM

君と最後に会った日は、雨がザーザーと降っていて、「ああ、こんなに激しい涙雨は初めてだな」なんて、冷静に考えてた。
病室の窓の外、いつもの風景が霞むほどの雨、君はもう目を覚まさない。

最後に会えて良かったよ。
さよならは言えなかったけど、君の旅立ちの日にそばにいられたことが嬉しかった。
あっちの世界は痛みも悲しみもないって聞くから、きっともう、この雨のような涙は流さなくていい。

…いや、この涙雨は僕のものか。
落ち着いているつもりだけど、手の震えが止まらなくて。
痛みも悲しみもある世界で、生き続けていかなくてはならない僕の心模様なのかな。
そうだとしたら、僕は自分が思うより、人間らしい感情を持ち合わせていたんだな。

痛みや悲しみで押し潰されそうだから、窓を開けて雨の音を聞いた。
君との思い出を少しずつ洗い流してゆく。
忘れないけど、忘れたいんだ、今だけは。
僕はまだ、この世界に未練があるから。
君がいたこの世界に。僕がいるこの世界に。

病院を後にして、コンビニで缶コーヒーを買った。
いつものブラックだったけど、いつもより苦かった。
でも、これが生きてるってことなんだろうな。
…なんて、らしくない感慨を心に描く。
びしょ濡れの心と体に今さらビニール傘を買って、土砂降りの雨の中を駅へと向かう。

君と最後に会った日に、僕は少しだけ大人になれた気がした。

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