Ryu

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赤い糸を辿っていったら、あの人の笑顔に会えた。
あんなに好きだったのに、今はもう誰かの彼女。
赤い糸って、恋が終わっても消えてくれないのか。
断ち切りたいのに、繋がってたら忘れられないじゃないか。

触れてみたら、思いのほか太くて強い糸だった。
これはそう簡単に切れるもんじゃない。
なるほど、だから今も毎晩、僕は枕を濡らしているのか。
でもきっと、あの人から伸びている赤い糸は、僕じゃなくて今の彼氏に繋がっているのだろう。

…待てよ?
赤い糸って、将来結ばれる人と繋がってるんじゃなかったっけ?
だとしたらもしかして、この先、あの人とやり直せる日が来るのかも。
だからまだ、消えずに残っているのかもしれない。
…いや待て、そもそも赤い糸なんて、本当にあるのかどうかも分からない、怪しい迷信なんじゃないだろうか。

じゃあ、僕が辿ったり触れたりしてるのは何なのかって?
知らないよ、そんなの。
考えてみりゃ、目には見えない赤い糸、なんて矛盾してる。
見えないなら色なんてないはずだ。
僕はただ、この血管のような太くて強い糸が、まっすぐに君に続いているのが見えるだけ。 

きっとそれは、運命の赤い糸なんかじゃなくて、「絆」とか、「血縁」と呼ばれるものなのかもしれない。
だって、僕とあの人は…。

6/30/2024, 9:12:22 PM