少年はプランを立てた。
目的の場所へ辿り着くまでの完璧なプランだ。
詳細は教えない。
彼と旅を共にする仲間にも秘密だ。
そして、夢のような時間が過ぎてゆく。
奥深いジャングルを小さな船に乗って進んでゆく。
野生動物や原住民と遭遇し、
急流を落ちたり、滝の裏側をくぐったり、
あるいは、海の上で戦いに巻き込まれたり。
またある時は、
谷底を途方もないスピードで走り抜ける列車に乗って、
古代生物の遺骨を目の当たりにしたり、
漆黒に包まれた岩のトンネルをくぐり抜けたり。
そしてある時は、
この世ならざるものと遭遇し、
怯えながらもあちらの世界を垣間見たり、
色とりどりの華やかな世界には歌があふれ、
彼方には美しい城がそびえ立つ。
そんな冒険を乗り越えて、
少年達は旅路の果てに、ようやく目的の地に辿り着いた。
そこは、伝説の生き物が住むという小さな家。
彼の名はミッキー。
夢の国を旅して、やっと彼のもとに辿り着いた。
彼を探して、彼の姿を写真に収めるんだ。
背後で盛大に花火が上がる。
どこからか、パレードの賑やかな音楽が聴こえてくる。
あ…しまった、彼はあっちか…。
仲間からの、冷たい視線が痛かった。
しっかりと生きています。
時に誰かにイラついたり、泣きついたりもしながら、
自分らしく、人間らしく、命を燃やし続けています。
いつか必ず、この命は燃え尽きて、
この存在すらも、過去のものになって。
嘘みたいだな。
自分が存在しない世界なんて、想像すら出来ない。
いや、ほんの数十年前には、存在しなかった訳だが。
あの頃に戻る日が来るのかな。
誰かが悲しんでくれるのかな。
生まれ変わったりするのかな。
次も人間だったらいいのにな。
あなた達に届けたいこと。
あなた達のおかげで、
この世に生を受けられたことへの感謝。
あなた達のおかげで、
幼く無力な時代を乗り越えられたことへの感謝。
あなた達のおかげで、
新しく幸せな家庭を築くことが出来たことへの感謝。
あなた達のおかげで、
父親として充実した時間を過ごせているよ、ありがとう。
あなた達のおかげで、私は今もしっかりと生きています。
そして、あなたに届けたいこと。
いつか、この体がゲームオーバーを迎える日が来る。
たとえその日が来ても、この体で生きた日々を忘れない。
忘れたくない。
あなたは私自身です。生きているこの自分です。
思いのままに生きて、たくさんの経験をさせてくれて、
苦しい時も悲しい時も、ずっと一緒にいてくれて。
ありがとう。
生まれてきたことに、ありがとう。
大人になれたことに、ありがとう。
家族を作れたことに、ありがとう。
父親になれたことに、ありがとう。
すべて、この自分がいなかったら成し得なかったこと。
ありがとう。
もう少し、もうしばらく、一緒に過ごしてもらえますか。
最後の瞬間が訪れる、その日まで。
愛するって何。
見た目や性格が自分の好み通りの相手を見つけて、
その人と一緒に過ごす日々を楽しむこと?
その人を大切に思い、ずっと一緒にいたいと思い、
その人が他の誰かと仲良くすると憂い、
自分だけのものにしたいと欲張ること?
君しかいない、なんて愛は信じない。
自分の好みに合致する相手は他にもたくさんいる。
ほとんどの人は一生のうちに、いくつかの恋愛を経験する。
理由はどうあれ、相手を乗り換えてゆく。
この広い世界、君しかいない、なんてことはあり得ない。
たまたま今の自分の近くにいて、出会えて、この人いいなと思った相手と意見が合致しただけだ。
マンションの隣にどんな人が住んでるのかさえ知らない世の中で、この人しかいない、なんて言い切れるはずがない。
思い詰めるのは良くないよね。
いい人みっけ、ぐらいの気持ちでいいんじゃないかな。
そしてもしサヨナラが来たら、大切な存在を失うことをそれなりに悲しんで、潔くお別れしよう。
だってもともと他人なんだから。
街に出て、次に寄り添える相手を探しにいけばいい。
その方がね、結果的にたくさんの人達が幸せになれると思うんだ。
誰かが誰かに固執するよりも、ダメなら次へ、の気持ちでいた方が、LOVE & PEACE が広がるよね。
I LOVE…そうやって頑張ってきた自分。
I LOVE…そんな自分を支えてくれた人達。
愛する、より、君を想う、の方がしっくりくる。
大切に思える人がいれば、自分も幸せになれる。
押し付けるだけの愛を投げ合うより、
ただ静かに想いを馳せる相手がいれば、それでいい。
あの頃 君が住んでいた街へ
一人暮らしのアパート
駅前から続く商店街
夕飯の材料を買いながら
肩を並べて歩いた
ケータイも無くて
お互いの留守電でメッセージを確認して
待ち合わせはいつも
二人で決めた看板の前
あの看板ももう無くなってしまった
綺麗なビルが建って取り壊されてしまった
駅前から続く商店街もすっかり様変わりして
一緒に買い物をしたスーパーが公園になっていた
だけどまだ 君の住んでいたアパートは残っていたよ
もう君はいないけど 確かに君はここにいた
あの頃の自分と今の自分は
何かが変わったのだろうか
君と夕飯を作りながら
あの部屋で笑っていた自分と
家庭を持ち歳を重ね
今ここに立ち尽くす自分は
気まぐれでふらりとこの駅で降りた
分かっていたけど
懐かしさが寂しさに変わってゆく
決してあの頃に戻りたい訳じゃないのに
今が幸せであることは間違いないのに
もう帰ろう
家族が待つ我が家へ
きっと君も今頃
家族に囲まれて幸せな日々を送っているのだろう
ここではない
どこかの街で
最近こうして様々な文章に触れていたら、書くことは私達に与えられた歴然たる権利なんだと実感した。
心にある思いを自由に表現出来る。
伝えたいことを伝えられる。
文字に変えて、世界に発信することだって出来る。
そして気付く。
そのせいで、ネット上では誹謗中傷が蔓延っていることに。
自由だから、言いたいことが言えるから。
でも、本当に伝えたいのはそんなことなのか。
誰かに聞いてほしいことが、そんな罵詈雑言なのか。
自分という人間を大切に考えるなら、たとえ匿名だとしても、自分が発する言葉にはもっと思いを乗せるべきじゃないのか。
たかが言葉だ文字だと軽んじているなら、それで命を落とす人だっているという事実を、送信ボタンを押す前にもう一度立ち止まって考えてみるべきだ。
人はそんなに簡単には死ねない。
それだけの力が言葉にはあるってことを、愚かな中傷者達は分かっているのか。
ホント、そんな奴らにはいなくなってほしい。
地球に必要のない存在だ。今すぐ塵となって消えろ。
お前らは人間のクズだ。
…ほら、少し自分が嫌になった。
言葉は世界を救い、時に傷付ける。
すべては言葉によるコミュニケーションで成り立っているんだ。
それを人は、親や友達、学校や社会から学んでゆく。
そうしてたくさんの人達から教えてもらった大切な言葉を、どうして君は、人を悲しませるために使おうとするのか。
君はその言葉で、たくさんの人達に希望を与えられるというのに。
君よ、優しさを持て。
ネットの向こうに存在するのは、自分と同じように日々を生きている人間だということに気付いてくれ。
時と場所によっては、親友になり得たかもしれない存在。
間違っても、君の暇潰しのために生まれてきた訳じゃない。
…と、最近のSNS事情に思うことを言葉にすると、自分がひどく年老いた気持ちになるのは何故だろう。
やっぱり、言葉の力は偉大なんだな。