明日はずっと楽しみにしていたパーティがある。
とびきりかわいいドレスを着て、かわいくヘアアレンジして。
服や髪によく似合うアクセサリーをつけて、美味しいお料理を食べてかっこいい彼と一緒に踊る。
想像するだけで楽しすぎて、音楽を口ずさみだしちゃいそう、踊りだしちゃいそう!
嗚呼。早く明日にならないかな。
心躍る
いつも頑張ってくれているからね、とうちの会社の上司がくれた束の間の休日が終わってしまった。
あぁ、また明日から仕事頑張らなきゃな〜。と1人で少し凹んでいたら、足元に猫が1匹ちょこんと座っていた。
野良猫かな?と頭を撫でてみると嫌がらない。足にもすり着いてきて人懐っこいみたいだ。
しばらく撫でていると、不思議とやる気が込み上げできた。
よし!とガッツポーズをして意気込むと、まるでがんばれと言っているかのようににゃ〜と鳴いた。
不思議な猫
私には幼稚園時代からの幼なじみがいた。
その幼なじみとは小中高とずっと一緒の学校に通っていた。
彼女はすごく幸せそうな笑顔で私の話をいつも聞いてくれていた。
だが、その幼なじみがある日、自ら命を絶った。
彼女は自分の部屋で、ぷらぷらと首を吊っていたらしい。
そのそばには1枚の紙があって、その紙には「私は何も悪くない」とびっしり書いてあった。
彼女はいつも笑顔で元気だったのでこんなにも精神が追い込まれているとは誰も思っていなかったのだ。
彼女がこの世からいなくなった2週間後にひとつ発覚したことがあった。
彼女はいじめられていた。
理由は気に入らないから。
この理由を聞いた瞬間いじめっ子の主犯に殴りかかりそうになった。
気に入らないからってだけで人の命を奪う必要があるのか、
気に入らないからってだけでなぜ大切な人を奪われなければいけないのか、謎で謎で仕方がなかった。
私の大切な人を返して欲しかった。
だけど、私がいくら願っても彼女は帰ってこない。
どれだけあいつらを憎んでも、彼女は帰ってこない。
せめて心の中だけは彼女と一緒に笑い合おうと、今までの思い出を毎日思い出している。
過ぎた日を想う
もう嫌だ。
この世にいることが辛い。
同棲愛について、友達や家族から認められないことがとても辛い。
彼女だって同じ。
認めてくれたっていいのにねなんて少し引きつった笑顔で彼女は口を開いて言い出した。
たしかにね〜なんて私も笑って返事をする。
「いっその事心中でもしちゃう?笑」
なんてほんの冗談で言ったつもりだった。
彼女の方を見たら目をぱちぱちとさせていた。
戸惑っていたのだ。
無理もない。恋人から一緒に死のうと言われたのだ。
しばらく沈黙が続いたので冗談ということを伝えようとした。
「あなたとなら私は死んでもいいよ。」
彼女はいつもの元気な声ではなく、落ち着いた少し暗めの声で返事をくれた。
私も家族や友達からの冷たい目線を向けられるのが苦痛だった。
だから正直なことを言うとこの世から居なくなろうと計画を密かに立てていたのだ。
そのため、彼女とこの世から去ろうとすることも本当は私の個人的な夢だった。
その夢が叶うのだ。
ほんとにいいの?と聞いたらうん。あなたとなら。と言ってくれたので私がひとつ提案した。
一緒に線路に出よう。と
彼女は泣きそうな声でうん。と言ってくれた。
私は彼女の手を引いて近くの踏切へ向かった。
彼女のことを抱きしめて、電車が来るのを待った。
カーンカーンカーンカーン
電車が来た。
2人で線路に出た。
もし神様が許してくれるのであれば、彼女と一緒に輝きたい。
私たちは姉妹ではないけど、双子座みたいに。
カストルとポルックスたちのように、綺麗に輝きたいな。
私は今、大家のパーティに参加している。
たくさんの財閥の方々が参加されているパーティ。
私の立ち位置的にに出席しないとまずい。
だから強制参加だ。
騒がしいところは苦手だしダンスだってからっきしダメな私にとってここは地獄である。
端の方で楽しげな皆をぼーっと眺めていたら、合奏団が合奏を始めた。
それと同時に皆が一斉に踊り出す。
男女のペアで入れ替わりながら花のようなドレスが舞ってゆく。
踊りませんか?と青年に連れられ私も中心に行き踊り出した。
だが、先程も行ったが、私は踊れないのだ。
踊れないことを伝えようとしたが、なれない動きで足がもつれ、後ろへ向かって倒れていく。
これは絶対痛いなぁ…と思いながら背が床に着くのを待っていた。
だが背に着いたのは床ではなく、誰かの腕だった。
大丈夫ですか?と聞いて顔を覗き込んできたのは先程の青年だった。
大丈夫ということを伝え、立ち上がって服を整えようとした。
目の前が歪む。立ちくらみだ。
ふらっと倒れそうになる私をまたあの青年が支えてくれた。
その後無事にパーティは終わり、助けてくれたお礼をさせてくれと後日家へ招待した。
その青年が、私の婚約者になるのはまた別のお話。