時雨

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もう嫌だ。
この世にいることが辛い。
同棲愛について、友達や家族から認められないことがとても辛い。
彼女だって同じ。
認めてくれたっていいのにねなんて少し引きつった笑顔で彼女は口を開いて言い出した。
たしかにね〜なんて私も笑って返事をする。

「いっその事心中でもしちゃう?笑」

なんてほんの冗談で言ったつもりだった。
彼女の方を見たら目をぱちぱちとさせていた。
戸惑っていたのだ。
無理もない。恋人から一緒に死のうと言われたのだ。
しばらく沈黙が続いたので冗談ということを伝えようとした。

「あなたとなら私は死んでもいいよ。」

彼女はいつもの元気な声ではなく、落ち着いた少し暗めの声で返事をくれた。
私も家族や友達からの冷たい目線を向けられるのが苦痛だった。
だから正直なことを言うとこの世から居なくなろうと計画を密かに立てていたのだ。
そのため、彼女とこの世から去ろうとすることも本当は私の個人的な夢だった。
その夢が叶うのだ。
ほんとにいいの?と聞いたらうん。あなたとなら。と言ってくれたので私がひとつ提案した。

一緒に線路に出よう。と

彼女は泣きそうな声でうん。と言ってくれた。
私は彼女の手を引いて近くの踏切へ向かった。
彼女のことを抱きしめて、電車が来るのを待った。
カーンカーンカーンカーン
電車が来た。
2人で線路に出た。

もし神様が許してくれるのであれば、彼女と一緒に輝きたい。
私たちは姉妹ではないけど、双子座みたいに。
カストルとポルックスたちのように、綺麗に輝きたいな。

10/5/2022, 10:46:36 AM