久我城ぬいろ

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5/3/2024, 12:15:01 PM

二人だけの秘密

僕のたった一人の友達は、時々空を眺めていた。
黙って横に並ぶと、横顔は今にも泣き出しそうで。
いつもは明るいのにと、不思議に思っていた。

横に立つと、彼から煙がたっていた時があった。
彼は一丁前に大人になったような面をして、黙って煙を吐く。
雨上がりの空模様みたいな、穏やかな顔だったから、叱ろうにも叱れないし。
羨ましかったこともあって、複雑な気持ちだった。
その後で、「俺たちだけの秘密な」とか言われちゃ、もう後にも引けないし。
僕は黙って微笑んでいた。

5/2/2024, 11:17:07 AM

優しくしないで

なんで、なんで、そんなに見るの。
痛い、苦しい、怖い、助けて……
見ないで、見ないで。私を見ないで。
助けて。たすけてよ、兄さま────

どうしてそんなに私を見るの?私が変だから?
みんなやってることでしょ。しょうがないでしょ。
結局そうやって、みんな私を見下すのね。
貴方は違うと思ったのに。
でも、見られてもあの恐ろしさはないの。

なんで、どうして?
こわくない。暖かい。心地よい。
おかしいじゃない。
その札束、どうするつもり?私まだ、何もしてない。
……初めて笑ってくれた。やっぱりおかしい。
おかしいのは私ね。望んでたことのはずなのに。
わがままだけど、お願い。
そんなに優しくしないでよ。

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自創作 硝煙は笑う より

5/1/2024, 8:38:03 AM

楽園

目が覚めたら、暗い場所にいた。
知らない場所だ。いや、そもそもさっきまでこんな所にはいなかったはずだ。
俺は死んだのだ。嫌でも覚えている。
頭から受けた衝撃と、鳴り響くあの音を。
だとしたら、ここは何だ。

『……やぁ、よく来たね』
背後から声が響く。
「誰だ」
『それは答えられないな。まぁ、君に次の行き先を伝えに来た者、という認識で構わない』
「何の話だ?」
突如、不思議な感覚に襲われた。
体が浮くような感覚。しかし、それでいて重い。

『君は死んだ、と思っているだろう。その通り、君は殺された……しかし、それは「作中」の中での話だ』
「待て、貴様は一体何だ!何をするつもりだ!」
『世界は繰り返すのさ。君も、ワタシもね』
意識が薄れていく。振り向いて見たのは、白髪の少女の姿。
『さて、次はどんなENDになるのかな』
その言葉を最後に、意識が途絶えた。

『────物語が繰り返せど、結末は近づいている。楽園はもうすぐさ』

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自創作 Fake File より

4/27/2024, 2:21:32 PM

生きる意味

別に生きる意味がなかった訳じゃない。
やりたいことならいくらでもあった。
死にたいだなんて思っていなかった。
そのはずだった。

死にたいと思ったのは、君がうまれてから。
君と共に過ごした日々は楽しかった。幸せだった。
でも、それよりも問題の方が多かったのだ。

もう、意味なんてどうでもいいから。
君のために生きてみたい。

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自創作 To My Imaginary より

4/26/2024, 1:25:45 PM

善悪

物事には善悪、というものがある。
これをしたら良い、あれをしたら悪い。その全てに、他人が理由としてあがっている。
困っている人を助けるのは善。
人を傷つけるようなことは悪。
子供でも知っているような常識。それが、善悪。

つくづく、疑問に思う。
善悪には自分の意見は反映されないのか?
困っている人を助けたら自分の得になるのか?
人を傷つけたら自分が傷つくのか?
倫理観がなかったら、自分はダメになるのか。
人間であるために、倫理観は必要か?

自分の人生を歩んでいたら必ず他人にも影響が及ぶ。
好き勝手するのは自分の自由だ。
そうして、他人がどうなってもいいのなら、「善悪」など存在しないだろう。
善悪、それは人間の疑問点だと、つくづく思う。

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