久我城ぬいろ

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二人だけの秘密

僕のたった一人の友達は、時々空を眺めていた。
黙って横に並ぶと、横顔は今にも泣き出しそうで。
いつもは明るいのにと、不思議に思っていた。

横に立つと、彼から煙がたっていた時があった。
彼は一丁前に大人になったような面をして、黙って煙を吐く。
雨上がりの空模様みたいな、穏やかな顔だったから、叱ろうにも叱れないし。
羨ましかったこともあって、複雑な気持ちだった。
その後で、「俺たちだけの秘密な」とか言われちゃ、もう後にも引けないし。
僕は黙って微笑んでいた。

5/3/2024, 12:15:01 PM