『太陽の下で』
いつか、貴方が
太陽の下で
わたしに手を振って
笑ってくれている
そんな姿を想像すると
わたしは
泣きたくなる
貴方をどれだけ
思い出そうとも
一緒に思い出された
貴方への想いは
何処へも行けないままでいる
同じ目線で自由を
見ていたかった
振り向けば、
貴方が笑っている日常を
知りたかった
雨の日も晴れの日も
曇りの日も
同じ太陽の下を
貴方と生きていけたのなら
笑っていられたのかな
『落ちていく』
落ちていく
ひらひらと
落ちていく
ぽつぽつと
落ちていく
しんしんと
わたしの気持ちも
ゆっくりと居たい場所へ
落ちていけたら
どれだけ良いだろう
上がる事も
これ以上下がる事もなくて
ただ、ただ
貴方の隣に
心が落ちていけたのなら
わたしは
この世に産まれた事に
恐れは無くなるだろう
『キャンドル』
淡く小さな炎が
揺れいるのを見ていると
疲弊した気持ちが
少し和らいでいくようだ。
浮き沈みを繰り返しながら
揺れ続けている
わたしの心のような小さな灯火。
悲しい時や嬉しい時。
怖い時や楽しい時。
それらの思い出の中には
いつも小さな灯火が揺れていた。
心が疲弊して、暗闇が
わたしを取り込もうとしても
その灯火があるのなら、きっと大丈夫。
どれだけ小さくても
どれだけ揺れて消えそうになっても
その先にあるものを
きっと照らしてくれるものだって
わたしは信じている。
『秋風』
秋の夜に吹く風は、
懐かしさを連れて来る。
湿った空気の匂いを
胸の奥まで吸い込むと
喧騒の疲れをリセットしてくれる。
湿った空気は、
遠足やキャンプで行った青々とした山や海辺のことや
川のせせらぎや虫の音を
聴きながら眠りについた夜のこと。
朝日と共に目が覚め、
一日が終わり、始まったのだと
鮮明に実感した気持ち。
わたし達は、
自然と共に生かされていること。
喧騒の中では知る事が出来ない
本来の自由を思い出させてくれる。
時間は止まってはくれないから
みな必死歩き続けなければならない。
でも、秋の夜に吹く風は
わたしがわたしを生きる為に
あなたがあなたを生きる為に
深呼吸をさせてくれる
唯一の時間なのだ。
『また、会いましょう』
落ちた枯葉を踏み締めると
冬の始まりを感じる。
冬が始まると、
すぐそこに、
次の年が待っているようで
わたしは、立ち止まる。
時間は、水が流れていくように
止まる事はないと分かっているけれど
ふと、考える。
今年も、あなたに会えなかったと。
あなたを探している訳じゃないけれど
何処かにあるはずの偶然を
わたしは待っている。
あなたが残していった名前を
あなたが取りに来てくれるまで。
最後は、あなたが何と言ったのか
今はもう朧げなのに
あなたの名前だけは、消えてくれない。
同級生の名前も
今まで出会った人の名前を
覚えるのも苦手で
心の中からすぐに消えて行ってしまうのに。
一度だけ聞いたあなたの名前は
わたしの心の中で、大きく陣取っているみたいだ。
忘れようと何度も試みたけれど
その度に、耳元で呟かれているみたいで
耳の奥にも刻まれている。
あなたは、いつか、
また、会いにやってくるのでしょう?
だったら、わたしはあなたを探さなくて良いよね。
探さなくたって、
あなたの存在は忘れそうにないもの。
だから、わたしは、わたしのままで
あなたとまた会える、その日まで待ってる。