次郎

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『また、会いましょう』


落ちた枯葉を踏み締めると

冬の始まりを感じる。


冬が始まると、

すぐそこに、

次の年が待っているようで

わたしは、立ち止まる。


時間は、水が流れていくように

止まる事はないと分かっているけれど

ふと、考える。


今年も、あなたに会えなかったと。


あなたを探している訳じゃないけれど

何処かにあるはずの偶然を

わたしは待っている。

あなたが残していった名前を

あなたが取りに来てくれるまで。


最後は、あなたが何と言ったのか

今はもう朧げなのに

あなたの名前だけは、消えてくれない。

同級生の名前も

今まで出会った人の名前を

覚えるのも苦手で

心の中からすぐに消えて行ってしまうのに。


一度だけ聞いたあなたの名前は

わたしの心の中で、大きく陣取っているみたいだ。

忘れようと何度も試みたけれど

その度に、耳元で呟かれているみたいで

耳の奥にも刻まれている。


あなたは、いつか、

また、会いにやってくるのでしょう?


だったら、わたしはあなたを探さなくて良いよね。

探さなくたって、

あなたの存在は忘れそうにないもの。


だから、わたしは、わたしのままで

あなたとまた会える、その日まで待ってる。

11/13/2024, 2:46:45 PM